山口組の被災者救援活動(中編)

 「以前お会いしていますが覚えてはおられないでしょう。今日は山口組の被災者支援活動についてお話をうかがいに来ました」と、荷台に向かって大声で叫んだと思う。

 問いかけに渡辺組長はすぐに荷台から飛び降りた。「要件は聞いた。困っている人のためにやっていることで特に話すこともないけれど、わざわざ来てもらったことだし聞きたいことには答えましょう」というのが第一声だった。続けて「会ったことは覚えている。私は物覚えはいい方やから」と笑顔を見せた。マスコミ嫌いと言われた人だがその姿はなかった。

 震災直後、デイリースポーツはまさに苦境に陥っていた。神戸三宮の本社ビルは倒壊寸前、内部では新聞作りのシステムがほぼ全壊した。加えて報道する題材がほとんどなくなってしまったのだ。スポーツ紙本来の対象であるスポーツ、芸能、ギャンブルといった分野は関西に限ればほとんど中止になったか「自粛」という形で通常の行事が取りやめられた。報道の対象が社会からなくなってしまったのである。

 そんな時、社内で「被災したデイリースポーツだけができる報道をしよう」という声が上がり、編集会議を重ねた。その中で私は「被災者の救援に活動している山口組を取材してみたら」という意見を述べた。「新聞社が暴力団の行動を正当化するのはどうか」という反対意見もあった。

 だが、幹部の多くは「おもしろい。取材してみないと中身はわからないし、一般紙と同じことをしていても意味がない」という後押しをした。

 本部へは2人で出かけた。近くで「たばこは吸わない方がいいやろ」とかなんとか意味のない会話をしながら本部を訪れたことを記憶している。※(後編)に続く



【1990年代】山口組

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