江川を指名した阪神豪腕社長・小津正次郎(中編)

江川を指名した阪神豪腕社長・小津正次郎(中編)

 後任監督には後藤次男が決まったが、翌78年も成績不振で2リーグ分立以来、球団初の最下位が決定的だった。大阪・梅田の電鉄本社へ専務に昇格した小津を訪ねた。応接室に通されたが、いつもと違うことに気付いていた。“かばう”の言葉が一度も出てきていない。最後に聞いた。

 「長田社長に再建プランを持ってこいということですけど、その再建案が納得できるものなら、責任は消えるわけですか」

 「そりゃ残るよ、キミィ」

 球団社長の解任を決めている、と確信した。しかし、感触だけで“解任”の記事が書けるほど甘くはない。「もう1回、小津さんにおうてくるか」。

 「デスクに解任を書けと言われたんですけど、恥かきますか」

 デスクの言葉をそのままぶつけた。「もしオレの名前がちょっとでも分かったら、キミとは一生、モノを言わんからな」。きびすを返した背中に「ありがとうございます」と頭を下げた。確証が取れ、悪戦苦闘しながらも出稿できた。

 しかし翌朝、紙面を読むうち目をむいた。“電鉄本社は緊急役員会を開き、解任を決めた”とある。デスクはなんでこんなウソとバレることを書き加えたのか−。

 当日は秘書部を通したため、本社の何人かは専務がデイリーの取材を受けたのは知っている。ネタ元として当然疑われる人物になるが、緊急役員会となれば専務が口にするはずがない。こうして小津の名前は完全に吹っ飛んだことになる。結果的にもデスクの判断に間違いはなかった。※(後編)に続く



【1970年代】小津正次郎


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