怪物・清原和博(中編)

怪物・清原和博(中編)

 85年8月19日、第67回全国高校野球選手権大会準々決勝。KKが1年の夏に全国制覇を成し遂げて以来の優勝まであと3勝。その春の選抜大会では伊野商(高知)に準決勝で敗れ、甲子園でただ一度だけ決勝進出を逃していた。相手は伊野商に勝って進出してきた高知商。

 センバツで伊野商・渡辺智男(のちに西武)の快速球で内角を突かれ3三振、無安打に終わった清原は、ベンチでボロボロ涙を流し、大阪・富田林の合宿所に帰ると、その夜、室内練習場でバットを振り続けた。下級生にマシンを内角にセットさせ、上半身裸の体にボールが当たっても唇をかみしめ打ち続けた。

 高知商・中山裕章(のちに大洋、中日)も渡辺に勝るとも劣らない146キロの剛速球を内角に投げ込んできた。清原は前の2打席は四球、三ゴロに終わっていた。4−2とPL学園リードの五回裏無死。カウント2−2、5球目はもちろん勝負の剛速球だった。

 打球は高い金属音とともにそれまで見たこともないような速度で飛びだした。戦闘機が緊急発進し急上昇していくような角度で伸びていく。打たれた高知商の捕手は、その時「甲子園で場外まで飛ばしたヤツ、おるんやろか」と思ったという。

 史上最長・最大ホームラン、頭の中でそんな言葉が渦巻いた。それをどう表現すればいいのか。とっさに記者は打球の突き刺さった場所へと走った。こんなことは後にも先にもないことだ。

 甲子園球場に足を踏み入れると、グラウンドの広さにも驚くが、それより驚愕(きょうがく)するのは断崖のようにそそり立つ外野スタンド。高さ約15メートルの壁が取り囲んでいる。息を切らせながら左翼席を駆け上がった。50段ある左翼スタンドの32段目に飛んできた白球を握った観客を見た。※(後編)に続く



【1980年代】清原和博


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