すごむ紳助「しばいたるぞ!」 元カメラマンの自信作(後編)

すごむ紳助「しばいたるぞ!」 元カメラマンの自信作(後編)

 紳助騒動の翌年、私は自信作の撮影に成功した。被写体となったのは192センチ、135キロの巨漢。同志社大・服部祐兒(ゆうじ)は1983年アマ相撲界では向かうところ敵なしの学生相撲史上最多17タイトルを引っ提げプロ入りした。その動向は常に注目され、日本ハムに入団した清宮クラスの騒がれ方だったろうか。

 伊勢ノ海部屋入り直前、後輩たちとのお別れ稽古を取材した。稽古中、服部の全身から玉の汗が飛び散っていた。テレビクルーも大挙押し寄せ、ライトがまぶしく感じた。すると、そのライトのおかげで、服部の体から湯気が湧きあがっているのが分かった。

 面白い。単に稽古している写真より迫力がある。あとは顔にピントを合わせ、湯気のなかで服部の表情を待つばかりだった。

 意気揚々と帰社して、デスクに写真を見せた。だが…予想外の反応だった。デスクは写真を見ると「使えんな」とポイッ。自信作がなんとゴミ箱行きとは、怒りで唇がわなわなと震えていたと思う。

 諦めきれず、服部を取材した記者に写真の感想を聞いてみた。すると「これは面白い。デスクに内緒で出せばいい」と助言をもらった。

 デスクの意向を無視して紙面に掲載するのは掟(おきて)破りだが、ルールを破ってでも掲載したい、それほど自信があった。

 結果的に当日の夕刊、翌日の朝刊紙面でも大きく扱われた。そして、なんとその写真はその年の関西写真記者協会・スポーツ部門賞を受賞したのだ。ゴミ箱から一転、表彰されることになろうとは、何が起こるか分からないものだ。

 鳴り物入りで入門した服部はその後、精神面の弱さに加えて腰痛にも悩まされ大成はせず、26歳の若さで引退した。(終わり)



【1980年代】


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