「内藤國雄・人生自在流9」プロへの厚い壁(後編)

 【内藤國雄・人生自在流9】(後編)

 1回の上京で3局こなして対局は1日置きだった。対局手当は当時、1局300円。親子丼が100円の時代だった。

 交通費としてもらうのは神戸−東京間の乗車券代だけ。急行券は自分で買わなければならなかった。急行でも東京まで9時間近くかかり混んでいて座れないことが多かった。

 夜は誰もいない対局室の片隅で、遠慮しながら布団を敷いて寝た。

 「この情けない体験は良かった、悪かったのか。バカバカしいと思わず頑張れたのは、藤内金吾師匠と母への感謝の気持ちがあったからだと思う」

 師匠は日ごろから「勝負の世界は勝つより他に道はなしや」と大きな声で言っていた。

 一期目の成績は8勝4敗。二期目は10勝2敗だった。いずれも優勝できずじまい。

 3カ月後、三期目のリーグが始まった。内藤棋士より2歳年下の青年が初戦の相手だった。

 終盤、確実を期して時間を使い過ぎ、秒読みに追われて逆転負け。年下の相手に敗れたショックは大きかった。

 帰り際、海坊主男の角田三男六段(当時)から声をかけられた。

 「わしの見るところ、あんたの将棋は三段やそこらやない。もっと上や。それを負けるのは考え過ぎやからや。肩の力を抜いて、もっと気楽にやってみ」

 その場では返事ができず、帰りの夜道で1人考えた。=敬称略=

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