「内藤國雄・人生自在流10」師匠と初めての盃(後編)

 【内藤國雄・人生自在流10】(後編)

 内藤が昭和44(1969)年、30歳の時、棋聖戦で中原誠を破り、初タイトルを獲得した際、角田棋士は祝賀会での司会役を自ら買って出た。

 「へえ〜。あの無口な先生が…」と、周囲を驚かせた。

 「あとで、私に対する好意の表れだと気付いた。年齢が離れていたのでろくに言葉も交わさなかった。あの世では一献交わしながらお礼を申し上げ、たくさんお話をしたい」

 律儀な内藤は本気でそう思っている。

 四段になって藤内師匠から初めて酒のお許しが出た。師匠は弟子の内藤と飲むのを一日千秋の思いで待っていたのだ。

 「私はそれまで、酒を飲みたいとは思わなかった。酒好きの父親がよく一杯飲みに出ては店を空け、母親を困らせていた」

 そんな光景を見ていたからだ。しかし師匠から誘われれば話は別。一緒に飲むことになった。

 師匠は日本酒が好き。しかし、コップ酒はしない。ある日、客が帰ったあとの道場で、大量に飲んだ。銚子に移すのが面倒になり、一升瓶から直接、盃についだ。

 「こんなに飲んでいて、一升瓶から一滴もこぼさないのは初めて見た。あんたは将棋は四段やけど酒は八段や」。師匠は真顔でそう言った。=敬称略=

おすすめ情報

デイリースポーツ 関西ゆかりの人間物語の他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

エンタメのニュースランキング

ランキングの続きを見る

エンタメの新着ニュース

新着ニュース一覧へ

人気記事ランキング

ランキングの続きを見る

東京の新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る

記事検索