「内藤國雄・人生自在流19」昇段の喜びと悲しみ(後編)

 【内藤國雄・人生自在流19】(後編)

 道場の近くに、しゃれた小料理屋ができた。割烹着姿でよく働く女将がお年寄りに人気だった。師匠もその一人。女将から「センセ」と銚子を持たれれば、喜んで盃を空けた。

 師匠が席を立つ回数が増えたのは、道場のお客を交えた3人で、銚子を20本くらい空けた時。5分後にはトイレの前で動かなくなった。

 「小便がしたいのに便器の前に立つと出ないという苦しい症状だと分かった。そこから病院に直行したと思うが、この数時間の記憶が情けないことにまるでない」と、内藤棋士は振り返る。

 翌日の午後、病院へ見舞いに行くと、師匠は病室のベッドに座り、大きく腕を振って口を開いた。

 「わしはこんなに元気や。小便のことやから、ちょっとオムツみたいなのをあてといたら仕事は今まで通りできる!」

 声はいつも通り、張りがあったので内藤棋士は「ホッとした。酒さえ減らせばいいんだ」と、胸をなで下ろした。

 対局のため、2日おいて3日目の朝に病室を訪れた。その瞬間に「アッ」と声を上げそうになった。見る影もなくやせ細り、管を3本通されていた。声が別人のように弱々しい。医者から「膀胱(ぼうこう)がん」と知らされた。=敬称略=

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