「制球王小山正明7」昭和28年夏の“奇跡”(前編)

「制球王小山正明7」昭和28年夏の“奇跡”(前編)

 【制球王小山正明7】(前編)

 仕事はもっぱら打撃投手。1軍が甲子園を離れると、2軍の試合にも使ってもらった。

 がむしゃらに練習をし、マウンドに上がるとひたむきに投げるしかない。無我夢中という言葉が自分のためにあるような気分になるくらい、汗をかいた。

 「他人様から後ろ指を指されるような人間になるな」

 父・英一はこの言葉以外、なにも言わず次男坊の正明をタイガースへ送り込んだ。

 春がきて桜が咲き、そして散り、やがて初夏も過ぎた8月下旬に大阪球場で中日と“親子試合”が行われた。夜1軍、昼2軍が同じ球場で試合をするのをそう言った。

 昭和28(1953)年の夏。小山は完投で勝った。

 試合が終わって風呂に入っていると「小山っ、小山っ」と声がする。はい、と答えて、小山は素っ裸のまま声の主と会った。

 2軍の代理監督の河西俊雄が湯煙の向こう側に見えた。

 「お前な、昇格だ。1軍だ。あすから1軍だ。松木監督から了解をもらったぞ」

 2軍の監督の御園生(崇雄)が病気療養中で統率に才長けた河西(内野手)が代行に就き、小山を呼んだ。2軍マネジャーも小山を探し、1軍行きの小山の準備を指示した。さらば2軍。少し感傷的になったが、昇格の興奮がその感傷を打ち消した。


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