マンションブームの北朝鮮で「ビニール膜」がバカ売れの理由

マンションブームの北朝鮮で「ビニール膜」がバカ売れの理由

中国吉林省の長白朝鮮族自治県は、人口わずか8万人の小都市だが、中国屈指の観光地を抱えており、多くの人が訪れる。その一つが朝鮮民族の聖地と呼ばれる白頭山(中国名:長白山)。そしてもう一つは、国境の向こうに広がる北朝鮮だ。

長白からは、国境を流れる鴨緑江を挟んで向かいあう北朝鮮の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)の様子が丸見えだ。北朝鮮に行かずして北朝鮮を間近に望むことができるのだ。

それだけあって「北朝鮮の窮状」を伝える世界中のメディアが、この長白から撮影した恵山を映像を頻繁に使用した。それに業を煮やしたのだろうか。北朝鮮当局は、長白県の中心地の真向かいにある地域での再開発事業を進めている。

恵山市の旧市街地から北東に4キロほど離れた渭淵洞(ウィヨンドン)、江岸洞(カンアンドン)、英興洞(ヨンフンドン)、渭淵洞(ウィヨンドン)には、20棟以上のマンションが立ち並ぶ。

デイリーNK内部情報筋によると、そのうち、内閣が建設を担当した英興洞のマンションは今月から本格的に入居が始まった。9階建て、10階建て、11階建ての3棟からなるこの物件には、近隣の平屋に住んでいた人、企業所で働く労働者などに入居権が与えられた。情報筋は触れていないが、入居者は庶民ではなく、それなりの社会的地位、財力を持った人々だろう。

このマンションはベランダが二重になっていて、従来のマンションより保温性が高い。厳冬期にもベランダに干した洗濯物が凍らないため、入居した住民には好評だ。ただし、寝室は窓ガラスを伝って冷気が入り込むため、窓に保温効果を高めるビニールの膜を貼り付けている。市場では、このビニール膜が飛ぶように売れている。ちなみに中国中央気象台によると、今月2日と3日の長白の最低気温は氷点下6.5度を記録している。

立派な新駅舎が建設中の渭淵駅にほど近いロケーションを生かし、新たな商売も始まっている。半地下の部屋を、待機宿泊(ヤミ民泊)や荷物預かり所にしているのだ。

「半地下の部屋は戸締まりさえきちんとすれば、泥棒も窓から入れない。一方で荷物の受け渡しには便利なので、荷物を保管する場所として使われる」(情報筋)

こうした新築マンションも、暖房などの燃料はガスや石炭ではなく薪だ。市場の商人に注文すると、配達してくれるとののことだ。ある商人は、薪を倉庫に積み上げるサービスを始めた。マンションの住民から好評だったので、他の商人が真似をし始めてサービス競争となっている。

ちなみに山での薪の切り出しは禁止されているが、幹部が山林保護員にワイロを渡し、切り出したものが市場で売られているという。

マンションブームに沸く恵山だが、質を無視した手抜き工事が横行し、入居予定だった党幹部が入居を取りやめる事態も発生している。


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