デイリーNKの内部情報筋によれば、北朝鮮の北部山間部・両江道(リャンガンド)三池淵(サムジヨン)で女性の性暴力被害が多発しているという。

北朝鮮は、「革命の聖地」として知られる三池淵の中心市街地を再開発し、都市再開発のモデルとしようとしている。金正恩党委員長も相当熱が入っていて、国際社会の制裁で資材の調達が厳しい中でも、建設が進められている。

工事に当たっているのは、全国からかき集められた突撃隊だ。無給で長時間労働を強いられる上に、食糧もまともに配給されない「現代版奴隷制度」として、国際社会から強い批判を浴びている。北朝鮮国内でもその惨状が知れ渡っているようで、動員されそうになった人が逃げ出す事件も起きている。

そんな現場で働く女性に、突撃隊の幹部はこんな甘い言葉をかけて接近する。

「お前はうちの姪に似ている、食べ物をやるから部屋に来い」

楽な現場に送ってやる、食べ物をやるなどと誘い出し、性暴力に及ぶというのがよくある手口だ。被害女性は激しく抵抗するが、男性に力づくで押さえつけられればひとたまりもないだろう。

多くの女性がこのような被害に遭っていて、中には精神に異常をきたす人もいる。娘が被害に遭ったことを知った親は、血の涙を流しているという。

いかなる理由があろうとも、性暴力は正当化できないが、かつての日本や韓国がそうだったように、北朝鮮では「性暴力は女性に落ち度があったから」とする悪習が未だに存在する。

国際的人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)の調査に応じた、脱北した女性教師は、北朝鮮における女性の地位の低さを嘆く一方で、性暴力の被害女性についてはこんなことを言い放った。

「レイプされたのは、女が愛嬌を振りまいていたからだ」

被害女性が被害事実をひた隠しにして生きざるを得ず、もし周囲に知れ渡れば被害者なのに非難され、社会的に孤立してしまうのだ。同時に、性暴力が起きている状況そのものをさほど問題視しない。加害者は大手を振って歩き、被害者が萎縮するという状況だ。

そんな状況を身に染みて感じている女性が、自ら幹部に接近する場合もある。それほど過酷な状況だということだ。

「現場での寝泊まりは家屋ではなくテント、寒いところで飢えに苦しみながらの労働に耐えられなくなる。三池淵で力のある幹部に体を捧げて食べ物を得たり、楽な現場に配属してもらったりすることもある。生きるためにそんな選択をせざるを得ない女性たちの立場は悲惨だ」

韓国では昨今、女性たちが自らの体験した性暴力の被害を告発する「#MeToo」ムーブメントが大きく広がっている。それは現在起きていることだけではなく、過去のことも含まれる。1980年の光州民主化運動の鎮圧にあった韓国軍の兵士から性暴力を受けたとの被害女性の証言は、韓国社会に大きな波紋を呼んだ。

現在、北朝鮮で広範囲に行われている性暴力も、いつの日か明るみに出され、断罪されることだろう。