暴風軍団。朝鮮人民軍第11軍団としても知られる山岳戦、夜戦、後方撹乱などに長けた北朝鮮の特殊部隊だ。

先月、咸鏡北道(ハムギョンブクト)や両江道(リャンガンド)の国境地帯に派遣されたが、新型コロナウイルス対策としての国境警備の強化、国境警備隊の勤務状態の監視などが目的と見られている。そんな暴風軍団のある兵士が、犯罪目的で一時的に脱北する事件が起きた。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

匿名を要求した軍関係者によると、先月17日、両江道に派遣され国境の警備に当たっていた暴風軍団の兵士1人が、夜の勤務時間に急に姿を消した。数時間後に戻ってきたところを国境警備隊員に発見、逮捕され、身柄を軍の保衛部(秘密警察)に引き渡された。

逮捕後の身体検査で、現金500元(約7700円)と中国の長白山ブランドのタバコ2カートンを隠し持っているのを発見された。取り調べでこの兵士は、強盗目的で密かに国境を越えて中国に渡ったと自白した。

なお、補給の不足で腹をすかせていたのか、北朝鮮より遥かに豊かな中国を初めて目にして、好奇心と出来心を抑えきれなかったのかなど、動機については情報筋は触れていない。

かつて、中朝国境地帯の中国側では脱北兵士による凶悪犯罪が相次いでいた。

2014年12月には、吉林省和龍市の村の民家に北朝鮮軍の兵士が押し入り、4人を殺害し、カネを奪って逃げる事件が起きた。2015年4月にも同じ和龍市で北朝鮮軍の兵士が強盗殺人事件を起こしている。

強盗までに至らなくとも、川沿いにある食堂にやってきて食べ物、ビール、タバコをねだりに来るという。断ると嫌がらせをされるため、食堂のオーナーは応じざるを得ない。

その後、国境警備の強化で脱北兵士による犯罪が減少した模様だが、現地では、暴風軍団のせいで同様の事件がまた増えるのではないかとの懸念が高まっている。

両江道のある住民は、特殊訓練を受けた兵士にとって1キロにも満たない川幅の国境を超えることなど朝飯前だとし、地域の事情や地理に明るくなれば、さらに多くの兵士が脱北するだろうと述べた。これでは「猫に魚を預ける」のと変わりない。

この案件は国家保衛省を通じて中央に報告された。兵士は中央防疫司令部の指示に基づき、新型コロナウイルスの感染有無とは関係なく、60日間隔離されることになった。隔離期間終了後、部隊の指揮官を含めて厳罰が下されるものと思われる。