来月19日開幕の、第92回選抜高校野球大会に出場する中四国勢から、明徳義塾(高知)、尽誠学園(香川)、倉敷商(岡山)の3校の注目選手を紹介。今回は抜群の制球力を誇る、明徳義塾のエース・新地智也投手(2年)が登場します。

 昨秋の四国大会4試合を1人で投げ抜き、与えた四死球はゼロ。名門・明徳義塾の歴史の中でも、屈指の制球力を誇るのが新地だ。

 中学時代は「コントロールは良くなかった」という。高校入学を機に「自分は球速が遅い方だったので、コントロールを磨こう」と決断。下半身主導の投球を目指し、鍛錬を重ねて最高の武器を身につけた。しかし昨夏の甲子園では、コントロールミスから“悪夢”を味わった。

 「夏は1球に泣いた」

 2回戦、智弁和歌山戦に先発した新地は、七回1死まで無失点の好投。しかし不運なイレギュラーで同点に追いつかれると、直後の細川凌平外野手(2年)への5球目。「あの1球が真ん中に行ってしまった」。甘く入ったボールを右翼席に運ばれた。その後も流れを断ち切ることができず、2本の本塁打を浴び、この回だけで7失点。悔しさを抱えたままでマウンドを降りた。

 まさかのミス。「自分の詰めの甘さが出てしまった。ばてていたというのもあるが、気持ちの部分で相手バッターに負けていた」と自己分析する。真夏の甲子園でもばてない肉体と、重圧に負けない精神力を手に入れる。そして、同じ過ちを繰り返さないために、この冬は走り込みと投げ込みで、スタミナ強化に努めてきた。この春はその成果を見せるときだ。

 目標とする投手には元ソフトバンク、巨人の杉内俊哉氏を挙げる。「体に力が入っていないのに速い球が投げられる」と、プロ通算142勝、奪三振のタイトルを3度獲得した左腕がお手本だ。

 「甲子園はウソのつけない場所でした。悔しさを晴らしたい」。悪夢を払しょくするチャンスはつかんだ。これ以上ないくらい味わった1球の怖さを肝に銘じ、「一戦必勝」の心構えで再び聖地のマウンドに上がる。