大塚家具“在庫一掃セール”で売上高アップ、「モルヒネ注射」はもう止められない?

大塚家具“在庫一掃セール”で売上高アップ、「モルヒネ注射」はもう止められない?

 11月1日、大塚家具は10月の店舗売上高が前年同月比7.7%増だったと発表した。同社の売上が前年同月を上回ったのは、実に15カ月ぶりのこと。

“かぐや姫”と呼ばれる大塚久美子社長(50)が手腕を振るうようになってから、経営は悪化するばかりの同社だが、額面通り受け取るなら、おめでたいことこの上ない。しかし、そうは問屋が卸さない――。

 ***

●大塚家具、全店売上高15カ月ぶりプラス セールが押し上げ(日本経済新聞・電子版:10月30日付)

●大塚家具、売上高7.7%増加 「在庫一掃セール」効果 10月の前年比(朝日新聞:11月2日付)

●大塚家具10月売上高 16か月ぶりプラスに 在庫一掃セール(読売新聞:11月2日付)

●大塚家具、15カ月ぶり売上高増 「在庫処分セール」貢献(産経新聞:11月2日付)

 1日の発表を受けて、新聞各紙には上記のようなタイトルが踊った。いずれも、売上が伸びた要因を、9月末から約1カ月開催した最大8割引を謳った「在庫一掃セール」と報じている。大塚家具も、販売好調を受けてセールの1カ月延長を決めた。

 事情通はどう見ているか。

「新聞も決して楽観的に見ているわけではなく、この一時的なセールが終わったら大変だという見方をしています。それはもちろんなのですが、いまこの時点を見ても大塚家具は危機的状況にあることに何ら変わりはありません。確かに数字上は、10月の店舗売上高は15カ月ぶりに前年比売上増にはなった。しかし、比較対象である昨年は72億5900万円の大赤字を記録した。その昨年と比べても、今年はずっと悪かったわけですが、セールをやっても前年同月比でたった7.7%しか売上が伸びなかったということのほうが衝撃的です」

 最大8割もの値引きをした出血大売り出しを、ひと月も繰り広げているのに、その売上は前年比の1割も超えていない。しかも、昨年10月といえば、72億円の赤字を出した年の中でも、前年(16年)と比べて71.8%の売上しかなかった最悪の月なのだ。そんな月と比較して、107.7%!と誇示しているわけである。では、45億6700万円の赤字を出した16年と今年(18年)とを比較してみるとどうなるか。

 前々年比の数字を見ると、なにも今年10月だけ特に売上が伸びたわけではない。むしろ10月の売上は、どちらかというと悪い部類に入るのだ。

過去3回の大規模セール

「久美子社長になってから、過去に3回、大規模セールを行ってきました。最初は政権を取った15年4月から5月にかけて、お家騒動のお詫びとして開催した大感謝フェア、いわゆる“お詫びセール”です。この時は、既存店は前年同月比で7割増しを記録し、年間売上高を14億円上方修正したほどの効果を見せました。次は15年末に開催された“売り尽くしセール”でしたが、34万点用意した商品のうち16%しか売り尽くせませんでした。第3弾となるのが現在開催中の、最大80%引きの在庫一掃セールです。この間にもちょくちょく、店舗ごとのセールや、今年6月には創立49年なのに50周年セールなど、セールで食いつなぐというやり方を続けてきたわけです。しかしセールを行うごとに、売上の山が小さくなってきたことは明らか。小売業にとってセールは、一時的には効くモルヒネ注射のようなもので、経営の立て直しにはつながらないのですが、それでもやり続けるしかなかったのでしょう。8割引が全商品ではないとはいえ、いくら安く仕入れても黒字にはならないと思います。それでもやり続けるしかなかったというのが実情でしょうね。多少の現金は入るにせよ、もしセールを止めれば売上は激減するでしょうから。喜んでばかりはいられないはずですよ」(同・事情通)

 大塚家具の現預金は15年12月末時点で109億円あったが、今年(18年)6月末には22億円にまで激減している。それでも久美子社長は、50億円に上る金融機関との融資枠(コミットメントライン)があるから大丈夫、と言い続けてきた。

「巷間では、その50億円のうち40億円は大手都市銀なのですが、どうやら管理区分が変更となり、大塚家具に貸し出しはできなくなったと言われています。そんな中で、11月14日までに第3四半期(9月末まで)の決算発表をしなければならないわけです。それまでに、何らかの再建策をまとめることができるのか。まあ、これまで通り、経営危機を伝える報道に対して、HPで“一部の報道について”のタイトルで、“○○という報道がありましたが、当社が発表したものではございません”“開示すべき事項が決定した場合には、速やかに公表いたします”と繰り返すだけでしょうけどね」

 と言って、この事情通、気になる目撃談を語り出した。

「この期に及んで、まだ社長の座に居座る久美子社長には、もはや感心するしかありません。あ、そういえば、10月24日の夕方、丸の内の大手法律事務所に久美子社長が入っていくのを目撃しました。法律事務所なら会社の実務担当や取締役が行くはず。あれはいったい何の相談だったんでしょうかね。いよいよ重大な決断でもしたのでしょうか」

週刊新潮WEB取材班

2018年11月9日 掲載


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