「大塚家具」の新役員人事、側近は全員が辞め、そして久美子社長と義弟だけが残った

「大塚家具」の新役員人事、側近は全員が辞め、そして久美子社長と義弟だけが残った

 相も変わらず業績不振が続く「大塚家具」が3月11日、役員人事(31日付)を発表した。それによると、現在の取締役7人のうち5人を入れ替えるという大胆なもの。新たな取締役には、資本支援をまとめたハイランズの陳海波社長も加わった。「(これまでの取締役が、大塚久美子社長の)アドバイザーとして機能していない」という、彼の意見も聞いた上での人事なのだという。

 だが、残った2人の取締役は、久美子社長と佐野春生氏。佐野氏は久美子社長の妹・智子氏の夫、つまり義弟に当たる。身内だけが生き延びる役員人事。果たしてこれが、“かぐや姫”の言うコーポレートガバナンスだろうか。

 ***

 11日に発表されたのは役員人事だけではない。3月31日(25日予定を変更)に開催される株主総会に合わせ、会計監査人の変更の議案も発表された。大塚家具は上場以来、4大監査法人のひとつであるEY新日本有限責任監査法人に任せてきたが、開花監査法人に変更するという。失礼ながら、無名の監査法人である。事情通が解説する。

「昨年6月に設立されたばかりの監査法人ですから、聞いたことがないのも無理はありません。所属する公認会計士は、いずれも大手監査法人出身の方が揃っているようです。ただ、この会社、上場会社監査の登録ができておらず、現在、準登録の申請中だそうです」

 大丈夫なのか。

「3月中に登録完了予定だそうです。もし登録ができなければ、他の登録済み監査人にお願いすると発表されています。よほど監査の引き受け手がいなかったのでしょうか。投資家にとっては不安材料のひとつですよ。なにせ、現在のEY新日本監査に逃げられた上でのことですからね」

 これについて大塚家具は、「当社の経営環境の変化に伴う監査工数の増大を理由に契約更新を差し控えたい旨の申出を受けました」と、先方からの更新契約の打ち切りを認めている。

「でもね、大塚家具より大きな会社をいくらでも受け持つ、“4大監査法人のトップ”と言える会社です。『監査工数の増大』なんて、とってつけた大人の理由でしょうね。でもそれを逆手に取るのが大塚家具です。『これを契機として』、『中国事業についての知見、ノウハウ、人脈も有する』開花監査法人に変えると説明しています。上場企業での実績がないのに、なぜ『ノウハウを有している』と言えるのかが不思議です。ともあれ、新日本から別れを告げられたのに、こっちから別れてやったとでも言いたげな強がりは相変わらずです」(同・事情通)

 さらに、決算期の変更も発表している。これまでの12月31日決算を4月30日決算に変えるという。

16カ月分なら業績もUP?

「理由としては『事業の繁忙期となる3月に株主総会が重ならないようにするため』と説明しています。家具屋にとっては引っ越しシーズンである3月は、最も忙しい時期です。今よりもずっと忙しかった頃から、毎年12月に株主総会をやってきた、それをあえて変えなければならない理由が見当たりません。考えられることといえば、先ほどの開花監査会社はもう1件、上場企業と契約しています。そちらの企業も12月決算ですから、手が回らないためなのかもしれません。もしくは、4月末決算とすることで、初年は16カ月分をまとめて発表できるわけです。毎年下がり続けている業績は、前年と比べにくくなりますし、4カ月分を加算して16カ月分にすれば、多少は数字上の売上だって上げられる可能性ありますからね」(同・事情通)

 また、2年前に「監査等委員会設置会社」へと移行した大塚家具だが、今度は「監査役設置会社」へと移行するともいう。

「17年3月の株主総会で監査等委員会設置会社へ移行するときには『取締役会の監督機能を一層強化するとともに、経営の意思決定をより迅速に行い、更なる企業価値の向上を図るため』としていました。今回は『経営の透明性を最大限確保しつつ経営戦略の確実な実行を期すため』とあります。もはや言葉遊びとしか思えませんが、実際は社外取締役や社外監査役が辞めていくため、社外の人数が少なくても済む監査役設置会社へ移行するのでしょう」(同・事情通)

 そして、前述した役員人事である。退任する5人の取締役の中には、久美子社長が連れてきた弁護士の長沢美智子氏、一橋大学教授の阿久津聡氏も含まれる。彼らはいわゆる久美子派ではなかったか。

「昨年後半には、久美子氏の社長続投を阻止するような動きがあったと報じられてもいますからね。彼らと久美子社長との関係は破綻したのかもしれません。これで彼女が連れてきた役員は全員いなくなったことになります。考えてみると、資産運用会社レオス・キャピタルワークスも久美子社長を持ち上げ、5.99%の株式を購入しましたが、株価は2年間で65%も下落して売却。しかも、自らの上場予定も中止 するはめに陥った。大塚家具の余った売り場を借りるため、10億円をツッコんだ貸し会議室大手のTKP(ティーケーピー)も減益となりました。どうも久美子社長に関わると、うまくいかなくなるようです」(同・事情通)

 結局、残ったのは、自分と義弟ということに。

「義弟の佐野氏は88年の入社ですから、勝久前社長の時代になります。入社5年目で商品部の開発担当に抜擢され、『好きなようにやれ』と勝久氏は彼の上司を全員異動させたそうですから、ずいぶん可愛がられたんでしょう。それなのに久美子社長側に加担し、唯一、役員として残ることができたわけです。大塚家具の業績をここまで悪化させたのは久美子社長に他なりませんが、その責任を取ろうともせず、身内だけを残すというのは、一般常識から言ってもあり得ません。これまで彼女がことあるごとに口にしてきた、コーポレートガバナンスとは何だったのでしょう。さらに、この役員人事を勧めたとされる新取締役の陳氏も、本当に大塚家具の現状をわかっているのでしょうか」(同・事情通)

 陳氏は久美子社長に、父の勝久氏との和解を勧めた人でもある。すると彼女は、勝久氏に会いに行くかと思えば、会見を開いて新設する家具の業界団体への参加を促した。

「和解するなら、会社をボロボロにしたことを、まずは詫びるしかないですよね。それどころか、父親に直接会いに行くことすらせず、会見で新設する業界団体へ入るように訴えた。本音では和解する気などないわけですよ。勝久氏は最近、『大塚家具の経営建て直しを優先することが業界を助けることになる』と取材に答えていましたが、これを陳社長はどう見ているのでしょう。役員の入れ替えについて、『(これまでの取締役が、久美子氏の)アドバイザーとして機能していない』と言ったそうですが、そうではない。彼女が人の意見を聞かないことが、最大の問題なんです」(同・事情通)

 3月31日は株主総会である。久美子社長は15年に社長に就任し、16年に45億6700万円、17年には72億5900万円、18年には32億4000万円もの赤字を垂れ流し続けてきた。通常なら株主たちは、久美子社長の続投を認めるとは思えないが、そこに抜かりはないという。

「先日、第三者割当増資を決定した大塚家具ですが、3月4日までに払い込みが済んだ新株式の割当先には、31日の株主総会で議決権を与える発表をしています。およそ900万株の新株式全ての支払いが済んでいたら、議決権総数の3割ほどを占めることになります。旧来の株主全員が議決権を行使することはないでしょうから、あっさり久美子社長の続投が決まるのでしょうね」(同・事情通)

 こういうことにだけには長けている。いやはや――。

週刊新潮WEB取材班

2019年3月22日 掲載


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