コロナウイルスで世間が自粛ムードのいま、タレントたちは「余計なことは言わない」ことが一番安全だと思っているはずだ。今ほど炎上が怖いタイミングはない。人の不倫に物申していたコメンテーターたちもすっかり鳴りを潜め、訳知り顔で「節度ある行動を」と語るばかりだ。

 しかし、私どんな時も言いたいことは言っちゃうんで、という自称サバサバ系女子にとっては腕の見せどころなのかもしれない。3度目の結婚相手との間に第4子妊娠中の歌手・hitomiもしかり。かつては長女に対して「調子乗んなよ」などとキツい口調で叱る鬼母ぶりでプチ炎上を起こしたが、今度は夫の行動を問い詰める「鬼嫁ぶり」で再び注目を集めているようだ。

 小室ファミリーの一員として、90年代にヒット曲を連発。私のようなアラフォー世代はど真ん中で、今でもカラオケでかかれば歌える曲も多い。代表曲のひとつ「LOVE 2000」はシドニー五輪金メダリスト・Qちゃんこと高橋尚子が練習中に聴いていたと明かして大ヒットとなった。

 そして44歳となってもファッション誌やテレビに引っ張りだこのhitomi。モデル活動もしていたスタイルの良さで、マタニティヌードの火付け役にもなった。私生活も波乱万丈で、2002年の結婚から数えて今回が3度目の結婚。デキ婚を重ねて1女2男に恵まれ、第4子を妊娠中とめまぐるしい。かつて西川史子が「なんで3回も結婚できるのか」と質問したところ、「したくてしているというより、常々平和でいきたいけれどちょっといろいろごたごたあって…」と答えていた。直情型タイプで、悪く言えば軽率な傾向があるのだろう。そんな性格を活かしてか、一時期は「ぶっちゃけサバサバキャラ」として爪痕を残そうとしていた時期もあった。不倫経験あり、下ネタもOK、子どもに叱る時もヤンキー口調。ぶっちゃけ系ママタレントの代名詞だった木下優樹菜をして、「すごい男っぽい」と言わしめていた。ただその木下もぶっちゃけが過ぎてトラブルを起こし活動自粛、今やぶっちゃけキャラの潮流と需要は大きく変わってしまったことに、hitomiは気づいていないのではないだろうか。

サバサバキャラに求められるのは「爽快感」よりも「オトク感」

 今や整形やらパパ活やら、刺激的な話を繰り出す怖いものなしのYouTuberが大活躍する時代である。TVタレントの話なんて、ありがたがるものではなく消費するもの。そんな傾向が視聴者の中でも強まっているだろう。そうなると現代のサバサバ系に求められるのは「爽快感」より「おトク感」ではないだろうか。暴露話や毒舌を辞さない「姿勢」よりも、どれだけ役に立つ情報を洗いざらい話してくれるかという「中身」が重要。不倫やヌードをドヤ顔で語るだけでは、もはや下品なだけで意味がない。どうせなら既婚男性も落とせるあざといテクニックだとか、身体を美しくする技術をもったジムや病院の名前、かかる具体的な金額こそぶっちゃけてほしい。そこまで話して初めて、真の「サバサバ系」として認められるのではないだろうか。

 そう思うとhitomiのサバサバに、視聴者にとっての学びやおトク情報は少ない。夫の浮気対策として、「女性と名刺交換は禁止」「午前1時の門限を破るとバッグを買ってもらう」などを挙げていたが、参考になると感じる女性はさほど多くないだろう。かといってネタとして笑えるほど強いエピソードというわけでもなく、かつては自分も不倫経験があると告白していたクチである。ただただ自分勝手でキツイ鬼嫁・鬼母イメージが増し、損するだけではないだろうか。

 しかし、まだ光明はある。先日の番組では11歳になった長女が「ママの好きなところはネットで悪口を書かれていても心が折れないところ」と回答していた。むしろこういう点にこそhitomiの需要はあるのではないかと思う。すなわち、「SNS時代に炎上してもめげない心構え」だとか「バッシングされてもバツ2でも社長と結婚する方法」の発信である。

 今のサバサバ系に求められるのは、強さというより心の広さ。「愛はどこからやってくるのでしょう」と歌っていたhitomiにこそ、おトク情報を惜しみなく与えてくれる博愛精神が問われているのではないだろうか。

(冨士海ネコ)

2020年3月13日 掲載