新型コロナが追い風

 やはり岡田教授は数字を持っている。テレビ朝日の視聴率が絶好調という。ビデオリサーチ調べ、関東地区(註:以下同)の視聴率によると、3月第2週(9日〜15日)は全日8・4%、プライム(19〜23時)12・5%、ゴールデン(19〜22時)12・1%で、三冠を達成した。

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 もちろん「岡田教授」とは、元国立感染症研究所研究員の岡田晴恵・白鴎大教授のことだ。

 ライバル民放キー局の関係者は「新型コロナウイルスの大流行で、“岡田バブル”がテレ朝で起きていると見て間違いないでしょう」と指摘する。

「民放キー局の視聴率は、新春から日テレが好調でした。1月から2月にかけて、合計で5回、週間視聴率で三冠を達成しています。ところが、新型コロナの発生と流行が極めて大きな社会的関心事となって流れは完全に変わりました。バラエティ番組が多いゴールデンタイムは依然として日テレがトップですが、プライムタイムになるとテレ朝が巻き返しているのです。理由は『報道ステーション』(月〜金・21:54)を見る視聴者が増えているからでしょう」

 まず、3月第2週におけるテレビ朝日の高視聴率番組を表にまとめてみた。

 ビデオリサーチの公式サイトに掲載されている「週間高世帯視聴率番組10」には、「報道」から始まって「その他の娯楽番組」まで8つのカテゴリーがあり、それぞれの視聴率ベスト10がまとめられている。

 この中から3月第2週、つまり3月9日から15日の結果がまとめられた「VOL.11」からテレビ朝日の番組を抽出してみた。

 ただし「音楽」と「アニメ」のカテゴリーは視聴率が10%を超えた番組がなかったために割愛した。更に「映画」と「スポーツ」は、ベスト10にテレビ朝日の番組が入っていなかった。

 それでは、表をご覧いただきたい。まずはバラエティやドラマの視聴率だ。

「ポツンと一軒家」や、再放送もランクインしている「相棒」の人気が根強いことがよく分かる。それでは次に報道などをご覧いただこう。

「報道ステーション」(平日・21:54)が15・3%を記録しており、こちらはプライムの視聴率アップに貢献していることが分かる。

 更に「羽鳥慎一モーニングショー」(平日・8:00)が11・9%と好調で、こちらは全日の視聴率に寄与しているのだろう。

「テレ朝の好調を支えているのが、この2番組です。『報道ステーション』の視聴率は15%、『羽鳥慎一モーニングショー』は10%をコンスタントに超えています。時間が来ると、チャンネルを合わせる。つまり視聴者を習慣づけることに成功しているので、当分の間は数字を稼ぐと考えられます」(同・関係者)

 視聴率が15・3%だった3月11日の報ステは、まず9年目を迎えた東日本大震災を大きく扱った。その後、この日は新型コロナの影響で、第92回選抜高校野球大会の開催が中止になるという大ニュースもあった。

 視聴率が11・9%だった3月10日のモーニングショーは、いつものように新型コロナを大展開。静岡県議のマスク転売疑惑や、PCR検査について詳報した。もちろんスタジオには、岡田教授と池袋大谷クリニックの大谷義夫院長というおなじみの2人が並んでいた。

4月に日テレが奪回!?

 視聴率三冠王がテレ朝の悲願であることは、一般の視聴者にもよく知られている。千載一遇のチャンスが来たことは間違いない。

 だが改めて考えてみると、なぜテレ朝は、これほどまでに三冠王にこだわるのだろうか。

「かつて視聴率の王者と言えばフジテレビでした。ところが日テレが1990年代に猛追、95年に『視聴率三冠王を達成した』と発表すると、CMなどの営業力も逆転させることに成功したのです。テレ朝は、この“成功例”を念頭に置いていると思います。そのために『何が何でも三冠王』と社の全力を注いでいるわけです。しかし、少子高齢化を反映し、若者のテレビ離れは深刻です」(同)

 この関係者によると、テレ朝で好調な「帰れマンデー見っけ隊!!」(月・19:00)、「ナニコレ珍百景」(日・18:30)、「ポツンと一軒家」(日・19:58)は、どれも高齢層に人気の高い番組だという。

 一方、若者向けとされる「アメトーーク!」(木・23:15)や「ロンドンハーツ」(火・23:15)などは、吉本興業の闇営業問題に悩まされるという不運があった。

「若い視聴者を獲得するための番組として期待された『陸海空 こんなところでヤバいバル』(2017〜2019)は終了。『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(火・0:15)や『激レアさんを連れてきた。』(土・22:10)は、もっと若者の支持を得てほしいところです。2番組とも絶不調というわけではないのですが、『アメトーーク!』の代わりを担えるほどには成長していません」(同)

 何より、従来型の“視聴率至上主義”は終わりつつあるという。テレ朝は喜んでばかりではいられないのだ。

「実は4月からビデオリサーチの視聴率調査は、今までの世帯視聴率から、個人視聴率が主体となります。広告主が『どんな人が番組を見ているのか、もっと特性を知りたい』との要望に応えた格好です。そして、まだ正式に発表されていませんが、個人視聴率は日テレの独壇場なんです。このままですと、新型コロナがどれだけ猛威を振るっても、『テレ朝の視聴者層は高齢者が中心』と個人視聴率の調査結果が明らかにする可能性があり、そうするとCMが売れなくなってしまいます」(同)

 この関係者は、「普段でもテレ朝を見ていると、高視聴率番組なのに自社の番宣CMが目立つ時があります」と指摘する。まだまだ日テレのようには「高視聴率を高い営業力」に結びつけることができていないのかもしれない。

 多くの日本人が「早く新型コロナ問題は終息してほしい」と願っているのは論を俟たない。

 また、いくら岡田教授が視聴率を持っているとしても、「今後もバラエティ番組やドラマで、引き続き岡田教授を毎日のようにテレビで見たい」と希望している視聴者は少数派だろう。

 確かにテレ朝にとってはチャンスどころか、間もなくピンチがやってくる可能性があるのだ。

週刊新潮WEB取材班

2020年3月23日 掲載