CM、ドラマ、更に著作の快進撃

 お笑いコンビ「ずん」の結成は2000年。同期はキャイ〜ン、ナインティナイン、くりぃむしちゅーという面々だから、遅咲きと言っても問題ないだろう。公式サイトを閲覧してみると、その“快進撃”ぶりがよく分かる。

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 まず「ずん」からご紹介しよう。メガネをかけたボケ担当が飯尾和樹(51)。裸眼で短髪のツッコミ担当が「やす」(50)という2人組だ。

 所属事務所は、コント55号[萩本欽一(79):坂上二郎(1934〜2011)]のマネジメントで注目され、小堺一機(64)や関根勤(66)、キャイ〜ン[ウド鈴木(50):天野ひろゆき(50)]など売れっ子芸人が多いことでも知られる浅井企画だ。

 そして同社の公式サイトに飛び、「ずん」のトップページにアクセスしてみると、「お知らせ NEWS」には今年8月4日から19年12月23日まで、13件の記事が掲載されている。そのうち何と9件が飯尾和樹の情報を伝えるものだ。

【1】TVCM『メゾンメルカリ』シリーズに、飯尾和樹(ずん)が出演中!(20年8月4日)

【2】総務省『マイナポイント事業』の新TVCMに飯尾和樹(ずん)が出演中!(20年7月28日)

【3】飯尾和樹(ずん)出演・TBS系火曜ドラマ『私の家政夫ナギサさん』
7月7日(火) よる10時スタート!(20年7月6日)

【4】飯尾和樹(ずん)レギュラー出演・新番組『これって私だけ?』(ABCテレビ・テレビ朝日系)7月7日(火)よる7時〜初回3時間SP!(同)

今、最も旬な芸人

【5】新商品『明治TANPACT(タンパクト)』の新CMに飯尾和樹(ずん)が出演中!(20年4月13日)

【6】飯尾和樹(ずん)出演の『MUSIC JUNCTION』(CS放送・歌謡ポップスチャンネル)が、4月からレギュラー放送決定!(20年4月3日)

【7】『ずん飯尾のどのみちぺっこり展』オリジナルグッズのオンライン販売開始!(20年3月5日)

【8】2020年「ボートレース」新CMシリーズに、飯尾和樹(ずん)が出演中!(20年1月15日)

【9】12月23日(月)飯尾和樹(ずん)の初エッセイ集『どのみちぺっこり』発売!(19年12月23日)

 破竹の進撃と言っても、決して大げさではないだろう。本業であるお笑い芸人としてのテレビ出演だけでなく、ドラマやCMの仕事もこなし、おまけにPARCO出版からエッセイ集も上梓しているのだ。

 民放キー局でバラエティ番組の制作に携わる関係者も「今、テレビ業界で誰もが『面白いよね』と意見が一致する芸人は、飯尾和樹さんです」と断言する。

CMでも引っ張りだこ

「素朴なおっさんというキャラクターが、視聴者を和ませますが、芸風も同じです。ギャグでもコメントでも攻撃的なところは全くなく、じわじわと視聴者を笑わせます。その一方で、他の芸人にイジられるのは得意ですし、トークでも笑いを取れます。『ずん』はお笑い第4世代に分類されますが、今をときめく第7世代の露出にも引けをとりません」(同・関係者)

 飯尾のデビューは1991年。お笑いコンビを結成したのだが、翌年には解散。他の相方とコンビを結成するも知名度は上がらず、ピン芸人だった時期もある。

 まさに苦労人だったわけだが、テレビ業界の人間にとって、飯尾和樹がCMの世界でも売れているということは、やはり驚きだという。

 先に総務省、競艇(BOAT RACE振興会)、明治のCMをご紹介したが、過去の出演作も充実している。焼肉のタレ(エバラ食品工業)、ビール(アサヒビール)、浄水器(東レ)、都市ガス(東京ガス)とバラエティに富んでいる。

 特に明治のサプリメント食品「TANPACT」のCMでは、田中みな実(33)との共演が話題になったことは記憶に新しい。

「一部のお笑いファンの間で、『ずん』は知られた存在でした。しかし一般の視聴者にとっては、長く無名の時代が続きました。流れを変えたのは、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系列:1997年〜2018年)のロケで、相方のやすさんが腰の骨を折る重傷を負ったことです。全身麻痺で一時は復帰が絶望しされていましたが、回復を果たしました。これで、やすさんだけでなく飯尾さんも番組との縁が生まれ、お笑いの才能を発揮。徐々に視聴者の認知度を高めていきました」(同)

ハイスペック芸人

 テレビドラマも2018年の「アンナチュラル」(TBS系列)で上司からのパワハラに悩む臨床検査技師を好演、演技の実力も披露した。

 笑いが取れて、演技もできる。こうなると、確かにCMの世界でも引っ張りだこになるはずだ。まさに「余人をもって替えがたい」存在だという。

「『IPPONグランプリ』(フジテレビ系列・不定期放送)では大喜利の才能を示し、ロケ芸人を本人も自認し、実力は東の芸人ではトップクラスと言われています。何よりロケ先で出遭う素人の対応に優れており、『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系列・金・20:00)が深夜番組だった頃はキャバクラでのロケが視聴者の人気を集めました。キャバ嬢との掛け合いが絶妙なのです。おまけに『ノンストップ!』(フジテレビ系列・平日・9:50)では料理が得意であることも披露しています。ルックスこそ朴訥な印象を与えますが、実は芸人としては非常に“ハイスペック”なのです」(同)

「ずん」というコンビは、ピンでの出演が多いという特徴がある。つまり、テレビでコントや漫才が放映されたことがほとんどないのだ。

「2人でひな壇に座ったこともありましたが、コンビとして笑いを取る場面が少ないので、正直なところ、出演してもらうメリットを感じません。飯尾さんだけ、やすさんだけのほうが、笑いを取れるという実感を持っています。ただ、コンビでの仕事が少なかったこともあり、飯尾さんとやすさんの“コンビ間格差”を心配する声が出てきました」(同)

“柔道芸人”のやす

「とんねるずのみなさんのおかげでした」で人気を博した「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」のファンなら、当初はやすのほうが笑いを取っていたことを記憶しておられるだろう。

 やすは「空手の師範代シリーズ」で第4回の優勝者に輝いている。飯尾も「女将自慢の旅館パンフレット、2ページ目の女将」のモノマネなどで善戦したが、決勝に進んだことはなかった。

「やすさんは篠原信一さん(47)のモノマネを得意としていますが、ご自身も柔道二段の腕前です。飯尾さんの快進撃で、やすさんも柔道芸人としての注目が高まっています。うまくするとコンビ両名とも売れっ子になるかもしれません。ただ今のところ、残念ながらやすさんが『アメトーーク!』(テレビ朝日系列・木・23:15)の『じゃない方芸人』に出演する日は近いのかもしれません」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年8月12日 掲載