10月9日、テレビ朝日開局60周年記念ドラマ『24 JAPAN』(23:15〜)がスタートした。2001年にアメリカで放送され、世界各国で大ヒットした『24-TWENTY FOUR-』のリメイク版だ。初回視聴率は7・7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)と、同時間帯ではトップを獲得。ところが、その出来栄えについては賛否両論が飛び交っている。

 ***

 米国版「24」は、アメリカの架空の連邦機関CTU(テロ対策ユニット)ロサンゼルス支局の捜査官ジャック・バウアー(キーファー・サザーランド[53])のテロとの戦いを描いたドラマだ。1話で1時間、1シーズン24話で1日の出来事を描くリアルタイムサスペンスのはしりで、シーズン8まで放送された。

 日本版「24」は、“米国史上初のアフリカ系アメリカ人大統領”が誕生するまでの24時間を描写したオリジナル版のシーズン1をベースに、日本初の女性総理大臣(仲間由紀恵[40])が誕生するまでの24時間を描く。主人公は、CTU第1支部班長の獅堂現馬(唐沢寿明[57])だ。

 初回を見た人の評価は、SNSでは真っ二つだ。

面白かった!

〈本場の24観てないけど、24ジャパンおもしろかった!!〉

〈面白いと思ったら、脚本がハリウッドじゃないか。ハリウッドのユダヤ商人が、方針を変えて、ネット配信に絞ったのか。それとも、コロナで脚本家が暇で書いたが。ボツになった脚本か。〉

 深読みはともかく、面白いと思ったのはオリジナルを知らない世代だろうか。世界的大ヒットした作品だから、ストーリーが面白いのは折り紙付きだ。一方、オリジナルを知る人の意見は手厳しい。

インド版の方がいい?

〈24JAPAN… よくもまぁここまで本家を劣化出来たものだ チープ感というか、これ本家よく許したな…見るに耐えない…〉

〈24の醍醐味はジャックのキレ芸なんだよな。テメーコノヤローって言うときの迫力、仲間であろうと疑いをもったら瞬時に銃を突きつけ、首締めで落とす。その危機感と対処への行動力。それが小山力也さんさんの声で凄みをましてたんだよな。日本版はスマートすぎる。〉

〈何話してるか全くわからんのに、インド版24のほうがよく作られてる。24ジャパンのおかげで、インド版24の出来が素晴らしく思える。〉

 インド版「24」は置いておくとして、業界での評価も概ね厳しいという。民放ディレクターは言う。

「テレ朝もかなりの力の入れようでしたね。番組スタートの24時間前から、24種類の番宣スポットを入れるなどしていましたから。見てみると、確かにCTUのセットも米国版と瓜二つと言っていいほどよくできていました。ただし、日本を舞台にしたリメイクと言いながら、米国版の完全コピー、正直言って劣化コピーにしか見えませんでした」

 具体的には?

「オリジナルは20年近く前ですからね、時代が変わっているんです。例えば、唐沢さんが夜遊びに出た娘を探すために、機密情報を使ってメールアドレスからパスワードを割り出すのですが、SNSでも〈スマホなんだから、GPSで位置探れよ〉なんてツッコミもありました。なにより、唐沢さんの職場であるテロ対策ユニットが日本にそぐわない。たとえ架空であっても、米国ならば“テロ対策”機関があることに違和感を感じませんが、治安の良い日本ではテロはもちろん銃すら馴染みはありません。そういう国で、拳銃をぶっ放し、テロ組織と戦うヒーローと言われても、リアリティを感じられません。最近のドラマはリアリティがあり、共感できるドラマがヒットしていますから、日本版『24』はむしろ違和感ばかり感じてしまうんです」

 さらにスケールダウンしたシーンも気になるという。

「米国版の第1話冒頭は、マレーシアの首都クアラルンプールから情報を流すシーンがあるのですが、日本版では沖縄に。なんだか、国際組織を相手にしている感じではなかった。また、米国版では爆破された旅客機の機影が映っていましたが、日本版では管制塔のシーンに差し替えられていました。制作費が足りなかったのか、なんて声もあります」

 どういうことだろうか。

「海外、とくに米国ドラマのリメイクをするには、高額なロイヤリティを払わなければなりませんから。設定こそ、日本版に変えてはいるものの、セリフがほぼ同じなのは、そういう契約なのかもしれません。何より、日本版のエンドロールで最初にクレジット表記されているのは、米国版のプロデューサー、ロバート・コクランとジョエル・サーノウが記され、ご丁寧に脚本家としてもう一度、二人の名が表記されたほどでしたから」

唐沢たっての希望

 大ヒットドラマとはいえ、なぜ今頃、リメイクすることになったのか。

「主演の唐沢さんが大ファンで、携帯の着信音を『24』にしていたのは有名な話です。それで所属事務所から持ち込まれた企画だったのです。もちろんテレ朝以外にも売り込んだのですが、企画が日本にフィットしないのと、ロイヤリティや制作費がかかりすぎるため、実現しませんでした。テレ朝は開局60周年記念番組に相応しい大型ドラマを立ち上げたいと思っていたところだったので、一気にドラマ化の話が進んだそうです」

 唐沢が昨年出演した「グッドワイフ」(TBS)も米国ドラマのリメイクだった。ひょっとしてリメイク好きなのだろうか。

「むしろアクション好きです。実は、彼は下積みが長く、無名のころは『仮面ライダー』シリーズなどでスーツアクター(ヒーローものの着ぐるみの中身)として凌いでいた時期があったんです。ただし、それを恥じることはなく、自分は“ライダーマン”だったことを自慢することさえあるので、本当に好きなんでしょう。それで、大好きな『24』を自分でやりたいという気持ちがあったんです」

 大物となった唐沢が希望しているからと言って、テレビ局も企画を通すものだろうか。

「俳優自ら、企画を持ち込んで提案するケースは意外に多く、ヒットした作品もある。例えば、『ROOKIES』(TBS)は、教師役で主演した佐藤隆太が原作マンガの大ファンで、TBSに売り込んだものです。ドラマはヒットし、映画化もされて興収85億円を超える大ヒットとなりました。テレビ業界は、こういう例もあるため、俳優が持ち込む企画は実は通りやすいのです」

 日本版「24」は24話(2クール)と長い。今後、どうなるだろうか。

「原作が良く出来ていることは間違いないので、米国版を観ていない層に期待するしかないかもしれません。日本オリジナルのドラマであれば、視聴者の反応を見ながらテコ入れも可能ですが、原作リメイク版を購入したドラマの場合、アレンジすることはほぼできませんからね」

週刊新潮WEB取材班

2020年10月16日 掲載