好きな飲食店や好物の話を聞けば、その人の人となりが解るというもの。ゆえに「名は体を表す」ならぬ、「食は体を表す」なのである 。この企画では、外国籍の著名人の方々にご登場頂き、行きつけのお店をご紹介してもらいます! 意外なお店のチョイスに驚くこと必至! 彼らの食に対する感性と経験が垣間見えちゃうんです。第64回は、星野ルネさん。今回は「隠れ家・歩和路(ぽわろ)」に伺いました!!

 カメルーン人の両親のもとに、カメルーンの村で生まれるも、物ごころつく前の4歳で来日。以後、25歳で上京するまで兵庫県姫路市で暮らしてきた星野ルネさんは、“アフリカ系関西人”として、自らの体験をもとに『まんが アフリカ少年が日本で育った結果』を描いて一躍注目を浴びた。

「バーテンをやっていたときに、アフリカ人の“あるある話”をしていたら、『もっとみんなに伝えたら?』って言われて。もともと漫画は好きで、タレント活動と並行して見様見真似で描いていました」

 2、3年に1度は訪れるという星野さんの故郷は、カメルーン最大の都市ドゥアラの空港から、車で丸1日かかる村。ジャングルに囲まれ、今も電気や水道がないんだとか。30〜40人の村人はほとんどが親戚だそう。

 日本人には知られざる体験談に事欠かない星野さんだが、お気に入りの店も知られざる名店と呼ぶにふさわしい。住宅街にひっそりたたずむ、東京・西国分寺の「歩和路」である。

「仕事の休憩で近所を散歩するんですが、この店を見つけたとき、民家の中に謎の店があると思ってね。何度も行ったんだけど、行く度に休みで(笑)。いつしかぼくのなかで憧れの店になっていったんです」

 ようやく念願の入店を果たすと、

「料理もおいしいし、だれかの家のダイニングキッチンで食べているみたいな気分になってね。奥の部屋に布団を敷いてほしいくらいでしたよ。“夢を叶えちゃった系”の雰囲気ですよね」

“無限に飲める”と豪語するビールとともに、この日は、いぶりがっこが入ったポテトサラダや本マグロの角煮に始まり、あん肝、カラスミ、梅水晶、燻製にしんのあぶり焼き、栗の渋皮煮、だし巻き卵、蓮根まんじゅう、牛すじ煮込みなど、一品料理の怒濤のフルコースに舌鼓。どれもお酒にピッタリで、ビールの進むこと。もし奥の部屋に布団があれば、ホントに無限に飲んでしまいそうです。

「週刊新潮」2020年11月12日号 掲載