1バレルあたりマイナス40ドル。簡単に言うと貰ってくれたら40ドル差し上げますという値段である。4月21日の早朝につけたWTI原油先物価格(5月物)には世界中が仰天したに違いない。

「事の発端は3月上旬のこと。『OPECプラス』の会合で、石油消費の減退を懸念したサウジアラビアが大幅減産を提案したところロシアが拒否。逆ギレしたサウジが増産に踏み切り、大暴落が始まったのです。その後、両国が歩み寄りますが、過剰供給を受けアメリカの備蓄タンクが一杯になってしまい、原油の引き取り手がいなくなったのです」(石油アナリスト)

 かくて、歴史上はじめて0ドルを飛び越して「マイナス」になってしまった原油。だが、翌朝、東京都内のガソリンスタンドを覗くと、何事もなかったかのように「レギュラー122円」と書いてある。店員に聞いてみると、

「今年の1月ごろは1リットル140円台でしたから、これでも安くなったんです」

 いや、元がゼロ円以下なのだから、もっと値下げしてもいいはず。そこで、コスモエネルギーホールディングス(コスモ石油)に聞くと、ガソリンは精製や輸送などに時間がかかるため、さらに安くなるまで最低1〜2カ月は要するという。おまけに、

「日本のガソリン価格には、ガソリン税のほか石油石炭税が含まれており、ガソリン税は1リットルあたり53・8円と固定されている。加えて消費税がかかります。そのため、ガソリン価格の半分ぐらいが税金となるのです」(広報担当者)

 石油元売りとガソリンスタンドの取り分も考えると大安売りは期待しないほうがいい。

「週刊新潮」2020年4月30日号 掲載