内外のきな臭い騒動の数々と距離をとるかのように、新年のテレビ番組で安倍総理の口をついて出たのは、後継と目される議員たちへの惜しみない賛辞だった。

 特に際立っていたのは岸田文雄政調会長(62)へのもの。元日の番組では、

〈(岸田氏は)総裁選に出ると明確に言っており、バットをぶんぶん振っている〉

 これには岸田氏も、

〈総裁選挙に向けてしっかりと奮闘努力いたします〉

 と、参拝に訪れた地元・広島の神社で報道陣に語るなど、満更でもないご様子。

 ところが、政治部記者によれば、

「岸田さんの名前を出したのは“保険”をかけただけ」

 というのも、

「総理はまだ4選を諦めていません。五輪後の今年秋には解散総選挙を打ちたいと考えており、そこで大勝すれば道が開ける。岸田さんなら、禅譲の時期が繰り延べになっても文句は言うまいと踏んだのでしょう」

 もっとも、

「4選の目がなくなれば、任期途中で岸田さんに禅譲する可能性もある。ただ、それも、岸田さんなら自分の影響力を残せると考えているにすぎない」

 さらに、岸田氏を持ち上げて見せたのには他の意図もある、と自民党関係者。

「党内では、菅官房長官への嫌がらせではないかとも囁かれているんです」

 一体どういうことか。

「昨年秋の内閣改造後、菅さんに近い閣僚のスキャンダルが相次いで発覚。また、桜を見る会の対応を巡っても総理と菅さんとの間には隙間風が吹いてしまった。菅さんはかねて岸田さんのリーダーとしての資質に疑問を抱いており、総理が岸田さんを後継レースの筆頭かのように吹聴したのは、菅さんへの当てつけの意味もあったのではと勘繰られているのです」

 妬(ねた)み嫉(そね)み渦巻く後継レース、いよいよ本番である。

「週刊新潮」2020年1月16日号 掲載