“この2人を入閣させるのが自民党総裁選であなたを支持する条件だ”

 いち早く「菅支持」を打ち出し、各派閥も雪崩を打ったことで、菅総裁・総理の生みの親とも言える二階俊博幹事長(81)。森山裕自民党国対委員長(75)も合わせて3人で秘密の会談を重ねてきたことが明らかになっているが、そこで二階・森山の両氏から“条件”が出され、菅義偉首相(71)も結果としてそれを飲んでいたのだった。

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「菅さんはたたき上げイメージで売っていますが、徒手空拳でやってきたかというと必ずしもそうではない。父親はいちご農家として成功し、町議も務め、国から勲章ももらっていますからね」

 と、永田町関係者。

「派閥を転々とし、最終的には無派閥になって首相に上り詰めました。無派閥だから『数は力』を信奉していないかというと、これまたそうではない。むしろ数の力を信じている。それは言葉の端々から伝わってきますね」

 一方、自民党の幹事長として在任記録を更新し続ける二階幹事長もまた、「数の力」の信奉者のひとりだ。

「二階さんは石破さん(茂元幹事長)とも話ができる間柄で、そこを安倍さん(晋三前首相)や菅さんは警戒してきました」

「安倍さんとしては、後継者と目してきた岸田さん(文雄前政調会長)では石破さんに勝てないという最悪のシナリオを回避しなければならない。他に石破さんに勝てる候補は菅さんしかいなかった」

 敵の敵は味方と言うか、単純な連立方程式と言うか、戦略的互恵関係と言うか、いずれにしても二階幹事長はそのことを読み切って、気脈を通じる森山国対委員長と共に、割と早い段階から「菅首相」の実現に舵を切ってきたフシがある。

「自分たちのポスト留任はもちろん、“この2人を入閣させるのが支持の条件だ。入閣の確約がなければ支持しない”と菅さんに伝えていたのです」

入閣多分できない組だった…

 2人の名前は平沢勝栄(75)、坂本哲志(69)の両氏だ。

 平沢氏は復興相、坂本氏は内閣府特命担当相(少子化対策、地方創生)として、初入閣を果たしている。

「平沢さんは当選8回。永田町では当選11回の逢沢一郎さんに続いて、『入閣待機組』を通り越して、『入閣多分できない組』と言われていた。内閣情報調査室が行うスキャンダルなどの『身体検査』にひっかかっているなどと取り沙汰されることもありました」

 安倍前首相の家庭教師を務めていた縁も通じず、2017年に石原派を抜け、その後に二階派に移ったのも、大臣の椅子に少しでも近づけるなら……という目算からだった。

「本人以上に地元支援者の入閣待望論は強かったみたいで、本人はホッとしているようです。二階さんのプッシュがなければ実現しなかったのも事実なのですが」

 一方の坂本大臣は当選6回。

「これは二階さんもそうですが、同じ石原派の森山さんがよりプッシュしました。このチャンスを逃せばもう入閣はできないという判断があったのではないでしょうか。こちらも内閣情報調査室の『身体検査』で芳しくない結果が出ていると指摘する声もありました」

「前任の北村誠吾さんが引き継ぎ式で、“相当ホラを吹いてきましたから”と失言していましたが、坂本さんにも失言癖があって、そこは心配されています」

「悪意がないところが憎めないんですが、今どき悪意がなかろうと失言は『一発退場』『一発更迭』の時代ですからね」

秋元司被告の狙う次期衆院選出馬にも二階氏のカゲが…

 ともあれ、菅氏に条件を飲ませた二階幹事長はわが世の春を謳歌しているわけだが、それは何も今回の自民党総裁選に留まらない。

 昨年、東京地検特捜部に収賄罪で逮捕・起訴された代議士の秋元司被告(48)。いわゆるこのIR汚職事件では、別の贈賄側被告に偽証を持ち掛けたとして、秋元代議士は組織犯罪処罰法違反の容疑で特捜部に再逮捕されている。

 逮捕はこれで4回を数え、自民党を離党しているのだが、秋元氏は二階派所属だ。別の関係者によると、

「秋元さんは次の衆院選への出馬を諦めていません。派閥の親分の二階さんもそれを黙認していて、本来なら別の候補の差し替えを進めていてもおかしくないのに、それが進んでいる気配はない」

 候補がいないわけではないと言って、こう続ける。

「江東区長の息子の山崎一輝さんは、都議2期目で47歳。出れば、対立候補の柿沢未途さんに勝てると言われています。過去3回の選挙で『秋元vs柿沢』はいずれも接戦。選挙区で負けた方も比例復活している」

「ただ、4回も特捜部に逮捕された秋元さんが勝てると思っている人は誰もいない。親分が二階さんでなければ、すでに候補は差し代わっていたことでしょう」

週刊新潮WEB取材班

2020年9月22日 掲載