コロナ禍で閑古鳥が鳴いているのに群馬・草津温泉が世界的注目を浴びたのは、2020年の暮れである。

 事の発端は一昨年11月、当時、町議だった新井祥子氏(51)が、15年に草津町役場の町長室で黒岩忠信町長に性的暴行を受けたと、電子書籍で暴露したのである。一方の町長は“全くの嘘”と全否定。新井氏を名誉毀損容疑で刑事告訴し、民事でも提訴する事態となった。

 地元記者が言う。

「お互いの言い分が対立するなか事態は意外な方向に転がりました。昨年に入って新井さんはリコールを受け、12月6日の住民投票は圧倒的な賛成多数。即日、失職してしまったのです」

 このニュースに飛びついたのが、日本を女性差別の国と決めつける欧米メディアだった。リコール成立の2日後、英紙・ガーディアンが、〈町長を性暴力で告発した後、町の唯一の女性議員が追放される〉と報じると、米CNNもそのニュースに合わせて日本のジェンダーギャップ指数が世界121位であることを指摘。12月18日には、新井氏自身が日本外国特派員協会で改めて「レイプは事実」と訴えたのである。

 ところが、この騒動で外国メディアがきちんと報じていない事がある。新井氏の失職理由だ。

「自分の居住地を偽っているのではないかとして資格審査特別委員会が設置されたのです。新井さんは草津町内のアパートの1階を住所にしていましたが、大家は“貸していない”と否定。もちろん水道の契約もしていません。これが問題になり、リコールにもつながってゆくのです」(同)

 ちなみに、届け出住所に居住実態がなかった前例では、12年に当選無効となった元埼玉県新座市議の立川明日香氏がいる。

 新井氏は、委員会に対して「上水道はペットボトルの水を使っている」「トイレは近くの公園で済ませている」とメチャクチャな弁明をしたが、むろん、町民を納得させることはできなかった。加えて彼女は草津町から「公正証書原本等不実記載」にあたるとして前橋地検に告発されてもいる。

 取材も尽くさず、ピントのずれた欧米メディアに持ち上げられては世の多くの女性もいい迷惑ではないか。

 そこでご本人に聞くと、

「私は10年前から草津町に住んでいます。そのことは町議会においても、きちんと説明してきました」

 乾坤一擲の告発転じて疑惑噴出の新井氏。肝心の「性暴力」云々は湯けむりに巻かれたままである。

「週刊新潮」2021年1月14日号 掲載