巨人、吉川尚の代役で「山本泰寛」にビッグチャンス OBからは“仁志敏久2世”の声

巨人、吉川尚の代役で「山本泰寛」にビッグチャンス OBからは“仁志敏久2世”の声

本人も気づいていない?

 まさに明暗――。巨人は4月12日、二塁を守っていた吉川尚輝(24)が腰痛のためスタメンから外れると発表。2軍の山本泰寛(25)が1軍に昇格し、4月16日の広島戦で二塁手として出場した。

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 試合終了後、山本はお立ち台に立ち、ヒーローインタビューを受けた。日刊スポーツ(電子版)が16日に報じた「巨人山本が初お立ち台、好走塁で吉川尚の穴埋め結果」から引用させていただく。

《1軍昇格した巨人山本泰寛内野手が、即結果を示した。6回無死、外角球をしぶとく右前に運んで出塁し、菊池保の暴投で一気に三塁を陥れると、打者小林の振り逃げ暴投で生還。ユニホームを真っ黒に汚しながらの好走塁で、貴重な追加点をもぎ取った》

 これには監督の原辰徳(60)も大喜び。翌17日の報知新聞(電子版)は「【巨人】山本、昇格即2安打 原監督『素晴らしいデビュー』」と報じた。

《初出場での好走塁に加え2安打2得点の大活躍。これには原監督も「素晴らしいデビュー。守備も堅実だし打撃もしぶとい。この状況の中、彼の力が必要だというところで良いプレーをしてくれました」と賛辞を惜しまなかった》

 更に4月21日、阪神戦では7回にタイムリー3塁打を放った。この日は若手の活躍が著しく、日刊スポーツは翌21日(電子版)に「巨人、平成生まれが躍動し首位 若手もつなぐ伝統」との記事を掲載した。

 ご覧の通りの注目株なのだが、山本泰寛は1993年10月生まれの25歳で、東京・荒川区の出身。小学校から軟式野球を始め、慶應高に入学。甲子園には出場していない。

 そのまま慶應大に進むと1年生からレギュラーに定着。2015年のドラフト会議で、巨人の5位指名を受諾し、契約金4千万円、年俸800万円で入団した。つまり、“野球界のスーパーエリート”として巨人のユニホームを着た男ではないのだ。

 野球解説者の小田幸平氏は「新人の頃から注目していました。レギュラーの座を獲得し、巨人を代表するスター選手に育つ可能性は、充分にあると思います」と期待を寄せる。

「もともと守備力は定評がありました。私が注目しているのは、彼は長距離ヒッターとしての潜在力があるからです。“仁志2世”かもしれません」

 二塁手やショートは、守備の要であることは言うまでもない。強打者というイメージは湧きにくいポジションでもある。巨人の歴代二塁手と、ベストナインの常連として選抜回数でベスト5入りした名二塁手の打撃成績を表にしてみた。どちらも、通算ホームランの順に並べている。

球史に残る千葉茂の“ファール力”

 典型的な二塁手のイメージを持つ選手を表から挙げるなら、西武とヤクルトで活躍した西武監督の辻発彦(60)が筆頭だろう。

 更にもう1人を選ぶなら、「19年シーズンで引退」を18年の契約更改で発表して話題を呼んだ日ハムの田中賢介(37)になるだろうか。

 2人とも守備力は抜群。その代わり、打率は決して高くない。ホームランとなると共に年数本という具合で、もちろんファンも長打力は期待しなかった。それこそ守備力を買われ、併殺の美しさで“ゼニ”を取るタイプだ。

 その一方で、打撃力を誇った二塁手もいる。横浜ベイスターズ(現:DeNA)やロッテで活躍し、年平均20本とホームランを打ちまくったロバート・ローズ(52)は別格かもしれない。

 だが巨人で11年間、横浜で3年間プレーした仁志敏久(47)も、年平均11本のホームランという数字を残している。

 これこそが、小田氏が山本泰寛を“仁志2世”として期待を寄せる最大の要因だ。表をご覧いただきたいが、山本はプロ入りしてからホームランを僅か1本しか打っていない。かなりの巨人ファンでも彼に長打力を期待していないだろうが、小田氏によると素質は充分にあるという。

「実は山本本人も気づいていないのかもしれませんが、打撃練習を見ていると、ミート時のインパクトに光るものがあります。バットを非常に強い力でボールに当てている。あれを磨けば、相当な中・長距離ヒッターに成長するはずです。ローズは無理にしても、仁志さんレベルの長打力を獲得することは、不可能なことではないはずです」

 実のところ山本は、走攻守の3拍子が揃っているタイプだ。しかし、そちらの方向性では、吉川尚輝の魅力を超えることはできない。監督の原辰徳を筆頭としてフロント陣に「お、山本はいいな」と思わせるには、吉川の持っていない長打力を花開かせるしかないのだ。

「といっても、長打力は一朝一夕には成長しません。ならば、ファールで粘る姿勢を毎日意識するだけでも、相当に変わってくるのも事実です。相手ピッチャーが8球、10球を投げなければならないバッターになれば、原監督はもちろん、巨人ファンも注目するようになります。そうして存在感を高め、吉川との激しい競争を糧に、バッティングを向上させていく。巨人というチームにとっても、山本本人にとっても、理想的なシナリオとなります」(同・小田氏)

 仁志に続いて、巨人の二塁手として通算ホームラン数2位にランクインした千葉茂(1919〜2002)は、川上哲治(1920〜2013)と青田昇(1924〜1997)と共に第一次巨人黄金期を支えたことで知られる。

 千葉の魅力は華麗な守備にあり、名二塁手の代表格としてファンに愛された。だが打撃の評価も高く、抜群の選球眼とファールで粘りに粘るスタイルは「バットにとりもちが付いている」と賛嘆されたという。山本が“仁志2世”になるためには、“千葉2世”を目指すことが必要なのかもしれない。

「野球の神様は、どんな選手にも1回、大きなチャンスを与えます。そして山本にとっては、吉川尚輝のケガによって回ってきた出場機会が、“野球人生における最初で最後のチャンス”かもしれません。これをきっかけに二塁手としてレギュラーに定着するか、このまま2軍と1軍を行き来する選手で終わってしまうかが懸かっています。今季で決めなければ野球人生は終わり、というくらいの意気込みで試合に臨んでほしいですね」(同・小田氏)

週刊新潮WEB取材班

2019年4月25日 掲載


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