コロナのせいでほぼ全ての試合が延期、中止となったスポーツ界では今、アスリートがファンに向けてさまざまな動画を配信することがブームになっている。

 陸上界も例外ではない。日本陸上競技連盟の旗振りで、「#いまスポーツにできること」という動画リレーを行っている。

 スターターは、銀メダルを獲得した2016年リオ五輪男子400メートルリレー第2走者の飯塚翔太。ストレッチ法などを伝授した飯塚に指名されたのはリオの1走だった山縣亮太で、キッチンに立ち、茶碗蒸しを作って見せた。続いて、17、19年世界陸上で3位になった際に1走を務めた多田修平、19年世陸2走の白石黄良々(きらら)がバトンを引き継いだ。

 その後、桐生祥秀からケンブリッジ飛鳥というリオ3、4走バトンパスが再現され、日本人3人目の“9秒台ランナー”小池祐貴にバトンタッチ。小池は腰痛対策を兼ねたトレーニングを披露し、400メートル走をメインとするウォルシュ・ジュリアンにバトンを渡した。

 今をときめく400メートルリレーのメンバーが揃い踏み……と思ったら、肝心かなめのアノ人がいない!

 そう、100メートル日本記録保持者であるサニブラウン・ハキーム(21)である。

「みな工夫を凝らした動画を配信していますが、やっぱりエースがいないと画竜点睛を欠きますよね」

 とスポーツ紙陸上担当記者が肩をすくめる。

「実は昨年末、陸連が“五輪では個人種目の出場は原則1種目”という案を発表しましてね。100メートルと200メートルの両方に出たいというサニブラウンをリレーに集中させようとしたわけですが、当然ながらサニブラウンは猛反発。結局、案は撤回されましたが、彼との間に軋轢が生まれてしまいました」

 動画リレーはまだ続いている。この人がアンカーなら金メダル級のフィニッシュなんだけど。

「週刊新潮」2020年4月30日号 掲載