複数年活躍する生え抜き選手があまりいないこと

 思えば、優勝から15年、日本一からは35年も遠ざかっている阪神タイガース。優勝のたびに「生きているうちに遭遇できるのはこれが最後」という枕詞がつくほど、ペナントレースの女神からは見放されている。阪神ファンにとって言われなくてもわかっているところではあろうが、敢えて、ライバル・巨人軍の熱烈なファンから改革プランの提案をいただいた……愛をこめて。

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 今回は高みの見物のように巨人ファンから見た「阪神タイガース再建論」などと宣おうと思ったのですが、気がつけば巨人は勝ち星なしの3連敗で阪神は3勝1敗と好調をキープでとても偉そうなことは言えない感じなのですが、どうしても嫌いになれない、そして気になる存在の阪神についていろいろ書かせていただきます。

 その前に少し。開幕ダッシュに成功してそのまま突っ走ると思った巨人が、故障者続出(先発ローテーションの一角を担う田口麗斗投手の左太もも痛による登録抹消、守護神ルビー・デラロサ投手の左脇腹肉離れによる登録抹消、正捕手小林誠司捕手の左尺骨骨折による登録抹消など)の影響で首位から陥落してしまいファンとしては残念でなりません。しかし、野球のみならずスポーツにはアクシデントはつきものなのでこれは仕方のないこと。それと共に、選手ご自身が一番悔しい思いをしていることは間違いないので、我々は早期回復を祈ることしかできません。

 そして先週のプロ野球関連の一大関心事はなんといっても客入れ興行がスタートしたことでしょう。

 開幕してからはもちろん、さらにその前のオープン戦や練習試合における無観客試合を見慣れていたせいか、ソーシャルディスタンスをとってまばらではあるものの観客の皆さんが映り込むことと拍手が起こることに少々違和感は覚えましたが「こうやって徐々に戻ってくるのかな?」と感慨も覚えました。

 そしてやはりこのコロナ禍でテレビ観戦していますと、今まで当たり前だった応援歌って今後もいらないんじゃないかな? とも思ってしまいましたね。もちろん選手を応援する気持ちを歌に乗せる気持ちはわかるのですが、「読売倒せ!」とかああいった品のない応援歌はこれを機会に排除して良いのでは? と感じました。

 と同時に、何より木のバットにボールが当たった時の金属音のようなけたたましい衝撃音や投手がボールを放った時の気合いの入った掛け声? などは今までかき消されていたことが勿体無かったなと思っているのは私だけではないはずです。今後野球場がヤジや応援歌がなく賞賛の拍手や遠慮気味の歓声に包まれた空間になったら、プロ野球というものがさらに成熟した興行に発展するのではないでしょうか?(もしそうなってもコロナが原因なので複雑ではありますが)。

 さあそして阪神タイガースについてでございます。

 ここのところ、足の躓きを取り戻して勝ち星を重ね始めていますが、依然として最下位であることに変わりはありません。

 光明といえば、開幕当初、先発メンバーから外されていた大山悠輔内野手がその鬱憤を晴らすべく活躍を見せたことと投手陣の踏ん張りが挙げられます。しかし非難を覚悟で言わせていただきますと、「果たして長続きするのかな?」と思ってしまうのです。

 阪神が最後にリーグ優勝してから15年、日本一から遠ざかって35年、歴史と伝統あるチームがなぜ優勝に恵まれないのか、巨人ファンなりの見地で申しますと、まずペナントレース途中で息切れしてしまうきらいがあり、複数年活躍する生え抜き選手があまりいないことが挙げられるのではないでしょうか?

プロ野球選手の肉離れは飲みすぎが原因だ

 近年ですと2016年ドラフト競合の末獲得しました高山俊外野手なんかはルーキーイヤーに大活躍をし、私のような昭和からのファンには「藤田平の再来か?」と思わせる打棒を見せてくれたのですが、その後は出場機会すら逸しているのが現状です。さらに北條史也内野手もプロ入り5年目の2016年には好成績を収めてレギュラー定着もあるかな? と思ったら、ベンチを温める存在になってしまい現在に至ります。他にも俊足巧打だった上本博紀内野手、長打が魅力だった中谷将大外野手、いずれも伸び悩んでいるのが不憫でなりません。

 一方、投手に目を向けますと伸び悩み代表格は何と言っても藤浪晋太郎投手。ルーキーイヤーから着々と素晴らしいキャリアを重ね、近い未来は日本球界の至宝になるかと思っていたのですが、ここ3〜4年大スランプに陥り昨年などは一軍戦は1試合4回1/3しか登板していません、さらに昨今の新型コロナ感染騒動…。そして2017年12勝を挙げ大活躍した秋山拓巳投手もその後はなかなか思うような活躍が出来ていません。

 もちろんプロの世界ですから、他球団に研究され攻略されてスランプに苦しむことはあるでしょうけど、そこはただのファンである私が分析などできるわけもなく論ずるのは失礼極まりないのでいたしません。

 が、他にも原因があるのでは? と邪推してしまうのです。

 大阪いや関西では、阪神の選手というだけでスターましてや活躍すれば大スターという扱いを受けて、タニマチが野球に没頭して生きてきた純朴な青少年たちを誘惑多き夜の巷に連れ出して、快楽の味を覚えさせてしまっているような気がしてならないのです。

 屋内球場と違い風に左右される球場というのはわかりますが、阪神園芸さんが整えてくださった日本一の天然芝と土のグラウンドでミスを連発したり怪我をしたりというのは、夜の酒量の多さからきているのでは、と推察されてしまうのです。あるプロ野球OBの評論家の方は、「プロ野球選手の肉離れは飲みすぎが原因だ」と仰ってました。それが100%だとは思いませんがプロ経験者が仰っていたのだから、かなり核心をついたものだと思います。

 どうかタニマチの皆さん、本当に阪神タイガースを愛していましたら、酒席への誘いの回数を減らしてグラウンドでの活躍に拍手を送ることに専念してください(コロナ禍で必然的に減るとは思いますが)。

 そしてもう一つ、人情の街・笑いの街の優しさが結果的に選手を甘やかしてしまってはいないか? と思うわけです。優勝を逃したりAクラス入りができなかったりしても、甲子園球場はいつでもほぼ満員で「まあ、ええやん」と許してしまっているようにも見えます。

巨人にだけ勝ってくれれば…

 ある熱狂的な阪神ファンの友人なんかは「巨人にだけ勝ってくれれば、優勝なんてどうでもええねん」と言っていました。その言葉や発想を選手も無意識のうちに共有してしまっていないか? と感じることもあります。

 私をはじめ巨人ファンはそのあたりはシビアというか冷たくて、低迷が長引きますと、観戦拒否や応援拒否などを平気でしたりします(愚行だとは思いますが)。

 さらにこれは巨人とも通ずる部分ではありますがFAに頼りすぎであるところ。やはり球界を代表する老舗の暖簾を掲げている球団であるわけですから、生え抜きのスーパースターを大事に育てて欲しいものです。そういった意味では2019年のドラフトは甲子園でも活躍した選手を大量指名し入団させたので、3〜4年後が楽しみではありますね。

 つらつらと生意気に書かせていただきましたが、やっぱり阪神には宿命のライバルであって欲しいわけです。他の球団やファンには大変失礼なのですが、巨人と阪神での隔年優勝なんかが続いたら、球界の人気復活やさらなる繁栄につながるのではないでしょうか?

追伸:タイガースガール、あれは台湾野球の応援みたいでとてもいいですね。さすがアメフト文化が根付いている関西、チアガールが非常にすばらしいですね。

徳光正行
1971年12月生まれ。茅ヶ崎市出身。日本大学芸術学部在学中よりミュージシャンを目指すが、父の病により断念。その後、司会業やタレント業に従事する。また執筆活動にも着手し『伝説になった男〜三沢光晴という人〜』『怪談手帖シリーズ』などを上梓。4月27日には岩井志麻子氏との共著『凶鳴怪談』を出版。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年7月14日 掲載