日本ハムの清宮幸太郎内野手(21)がパッとしない。プロ入り3年目の今季は、25試合に出場して、打率・152、本塁打3本、打点7(8月3日現在)という成績だ。同期で、ヤクルトの4番に定着している村上宗隆内野手とは大違いである。なぜ活躍できないのか。

 ***

 清宮の高校時代といえば、公式戦に70試合出場し、打率・405、本塁打29本、打点95をマークし、高校通算本塁打は史上最多の111本を記録。“怪物”と呼ばれたことはご承知の通りだ。17年のドラフト会議では、1995年の福留孝介(PL学園)に並ぶ高校生最多の7球団から指名を受け、日本ハムに入団した。

 もっとも、プロ入り後は試練続きである。2018年のルーキーイヤーは、1月に右手親指付け根を骨挫傷、2月に急性胃腸炎、3月は限局性腹膜炎で緊急入院し、開幕1軍入りを逃した。5月2日に楽天戦で1軍デビュー。この年は53試合出場し、打率・200、本塁打7本、打点18の記録を残した。

 19年も開幕直前の3月に右手有鉤(ゆうこう)骨を骨折し、骨片除去手術を行った。また、7月に右肘に炎症を起こし、10月に右肘の関節形成手術を行った。成績は81試合に出場し、打率・204、本塁打7本、打点33と今一つだった。

斜めに構えたフォーム

 今年は昨年の右肘手術の影響で、DHで出場しているが、なかなか覚醒しない。

「素質は十二分にあるのですが、今の打ち方では駄目ですね」

 と解説するのは、野球解説者の張本勲氏である。

「清宮は打席に入ったとき、右足を引いて構えています。左打者はステップしたとき、左足の親指より右足の親指を前に出して踏み込みます。ところが、彼の場合は逆なんです。左足が右足より前に出ているので、斜めに構えたフォームになっています。これだと、アウトコースに来た鋭い球を、しっかりスイングすることができません。腰が開いてしまうので、力強い回転もできないんです」

 確かに、打席に入った清宮を見ると、右足は左足より引いている。斜めに構えているので、投手に胸を見せた格好になる。

「彼はパワーがあるから、高校野球レベルの投手ならこのバッティングフォームでも対応できますが、プロでは通用しませんよ。プロの鋭い変化球にはついていけないでしょう。一番手の投手はもちろんのこと、二番手、三番手の投手だって難しいですね」(同)

もって生まれた悪い癖

 なぜ、こんなバッティングフォームをするようになったのか。

「もって生まれた悪い癖ですね。本人が納得しないと、この癖は直せないでしょう。今までこのフォームで打ってきたのだから、それを変えると打てなくなるのではないかという不安がある。最近は本当に選手のことを考えて、真剣に教えるコーチは少なくなりましたね。もしかしたら、問題があるフォームだと思っても、黙って見ているだけなんじゃないですか。右足を前に出し、ステップを狭くしろと指導して、本人に間違いを気づかせてやれば、1カ月間のキャンプで矯正できますよ」(同)

 先に説明した通り、清宮はプロ入り以来、怪我が多い。手術も2回行っている。

「怪我が多いというのは、やはりおかしなバッティングフォームと関係していますね。右肘を痛めたのは、不自然なスイングで右肘に負荷がかかったのでしょう。それから、自己管理が徹底してなかったのではないか。清宮は裕福な家庭に育ったので、ハングリー精神に欠けているところがある。ちゃんと練習をやったのでしょうか。走り込みが基本ですが、これが一番しんどい。でも、それをやらないと、プロの世界では生き残れません」(同)

 清宮の同期で、ヤクルトの村上宗隆は、昨季はフル出場して36本塁打を放ち、打点96と高卒2年目の最多記録を塗り替え新人王になった。今季はソフトバンクに移籍したバレンティンに代わり、4番に定着して大活躍している。

 同じく同期で、ロッテの安田尚憲は、昨季は2軍暮らしが長かったが、今季は1軍に定着して、7月21日の西武戦から4番を任されている。

「清宮は、ヤクルトの村上のように活躍してほしかったですね。ロッテの安田は、まだ完全ではないけれど、だいぶ良くなってきました。清宮は、今のバッティングフォームを変えない限り、あと2、3年で駄目になるかもしれません。今、日本ハムの選手から栗山英樹監督に批判の声が上がっています。『なぜ2割打てない選手を使うんだ』って若手から不満が出ているのです。それで最近は、清宮を使わなくなった。もったいないですね。これまで、素質があるのに何十、何百の選手が消えていきました。清宮にはその一人になってほしくはないのですが……」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年8月7日 掲載