2020年甲子園高校野球交流試合が8月10日からいよいよ開幕する。そこで今回はこの交流試合全16試合のなかから、この対戦は必見! という5試合をセレクト、その見どころなどを紹介していきたい。

 まずは交流試合屈指の好カードからだ。大会最終日となる6日目第1試合で東西の強豪の激突が実現した。“大阪桐蔭対東海大相模(神奈川)”である。

 春夏の甲子園で計8回の優勝を誇る大阪桐蔭は、昨秋の近畿大会で準優勝を果たした。

 その原動力となったのが、充実した投手陣だろう。軸となるエース左腕の藤江星河は140キロを超える速球にスライダーやチェンジアップを織り交ぜる。昨秋の公式戦では1試合平均で11・32の奪三振率をマーク。防御率も45回1/3を投げ、2・78と抜群の安定感を誇る。

 ここに伸びのある直球が魅力の2年生右腕・関戸康介が加わるのも心強い。守りも堅く、公式戦11試合での失策はわずかに1つというのも注目だろう。

 対する東海大相模は、昨秋の関東大会4強である。自慢の強力打線で昨秋の公式戦9試合で奪った得点はなんと94を数えた。関東大会3試合でもいずれも初回に先制点を奪うなど、序盤から畳み掛ける迫力がある。

 チーム打率3割8分2厘を誇る強力打線の中でも注目は、昨年秋の時点での高校通算本塁打数が53の西川僚祐、44本の山村崇嘉、27本で俊足も自慢の鵜沼魁斗というプロ注目の120発超えトリオだろう。

 その他にも長打力が武器のメンバーがずらっと顔を揃えている。盗塁数も計22個と機動力もあり、得点力はかなり高い。

 また、東海大相模は昨夏の甲子園に出場した主力が多く残る点を考えても、攻撃力は大阪桐蔭よりは優位だろう。逆に大阪桐蔭は、投手力を含めたディフェンス面が勝っている。いずせれにせよ、実力伯仲の好勝負が期待で来そうだが、大阪桐蔭はしなやかなバットコントロールからの勝負強い打撃がウリの西野力矢や長打力が魅力の仲三河優太ら、力のある中軸打者がポイントゲッターとなって、序盤戦で先取点を取りたいところ。

 打撃戦なら東海大相模、ロースコアの接戦に持ち込めば大阪桐蔭に勝機がみえる。

因縁の一戦

 2試合目は、昨夏の決勝戦の再現となった対戦カードである。大会第4日目の第1試合、“履正社(大阪)対星稜(石川)”という因縁の一戦だ。

 昨秋の近畿大会で4強に残った履正社のウリは全国トップクラスを誇る強力打線だ。昨秋の公式戦11試合でチーム打率は4割2分5厘をマークしている。

 昨年春夏と甲子園出場を果たした1番・池田凛、一発のある2番・田上奏大、打率5割超を誇る3番・小深田大地、昨秋の公式戦で4本塁打28打点と勝負強さが光る4番・主将の関本勇輔らが中心の打線はかなりの重量感がある。

 自慢の打線で立ち上がりから得点を重ね、安定感のある最速145キロのエース右腕・岩崎峻典や190センチの長身から最速147キロの直球を投げ込む内星龍らの投手陣が余裕を持って投げる展開にしたいところだ。

 一方の星稜は、昨秋の北信越大会で王者に輝いた。こちらも強力な打線を全面に押し立てて、全4試合で58安打を放ち、44得点と相手チームを圧倒してのVであった。打線の中心は4番・内山壮真、その前後を打つ知田爽汰と今井秀輔となる。主将も務める内山は小柄だが、バットコントロールも巧みで長打力もある。知田は広角に打ち分けるのが得意で勝負強く、今井はパンチ力が自慢だ。

 かたや投手陣は、昨夏の甲子園で2試合に登板した経験があるエース右腕の荻原吟哉と同1試合に登板した寺西成騎が中心となる。特に荻原は制球力に秀でていて、スライダーやツーシームなどで相手打者に的を絞らせない。粘り強く投げるタイプなだけに、攻撃陣としては打線の主軸3人の前に走者をためて、是が非でも先制点を狙いたい。

 このカードはどちらが先に点を取って、主導権を握るかにある。序盤の攻防がポイントとなりそうだ。

 逆に継投がポイントとなりそうなのが、3番目に紹介する大会第4日目第3試合の“仙台育英(宮城)対倉敷商(岡山)”の戦いだ。

 昨秋の東北大会と中国大会を制した地区王者同士の一戦で、東北王者の仙台育英は実力のある複数の投手を擁している。最速140キロ超の直球やスライダーが武器のエース左腕・向坂優太郎と2年生左腕の笹倉世凪がその中心となる。

 一方の打線は昨年夏の甲子園大会ベスト8時のメンバーが7人残り、昨秋の公式戦でのチーム打率は3割8分1厘を記録した。東北大会4試合では計35得点を奪っている。

 その出塁率の高さから、今夏から1番を打つ主将の田中祥都に始まる打線は上位下位とも切れ目がないのが特徴だ。中でもパンチ力のある4番の入江大樹と昨秋の公式戦でチームトップの18打点を挙げた笹倉に注目だ。

 対する倉敷商は先発を任される右腕・福家悠太の豊富な変化球に注目したい。なかでも持ち味のチェンジアップが決まるかが焦点となる。打者のタイミングをうまく外す投球で、仙台育英打線に挑みたい。

 この福家のあとには直球とスライダーにキレのある左腕・永野司が控えている。福家から永野への継投のタイミングがより重要となってこよう。

 打撃陣は2番ながら、チームトップの打率4割4分7厘、18打点をマークした主将の原田将多が中心となる。この原田から4番・福島大輝へと続く中軸で先に点を取れるかがカギとなる。

 チームは昨秋の中国大会4試合中2試合の延長戦を制するなど、接戦が得意だ。その勝負強さを生かしたい。

春の選抜が開催されていたら…

 4試合目は、大会3日目第1試合の“中京大中京(愛知)対智弁学園(奈良)”の一戦を挙げたい。両校は毎年6月に練習試合を行っているが、今年は中止になったので、甲子園がその決着の舞台となる。中京大中京は昨秋の東海大会を制し、その後に出場した明治神宮大会でも王者に輝いた。この春の選抜が開催されていたら、文句なしの優勝候補だっただろう。

 その原動力とも言えるのが、最速153キロを誇るエース右腕の高橋宏斗だ。昨秋の公式戦では12試合に登板。75回を投げ、奪った三振72、防御率は1・68という好成績だった。

 高橋は直球の威力だけでなく、ツーシームで打たせて取る技術もあり、右打者の外角に投じるスライダーやカットボールも効果的だ。

 この高橋を援護する打線は印出太一、中山礼都らを中心につながりがあり、下位打線からでも得点を狙えるのが強みだ。

 かたや智弁学園は、昨秋の公式戦で計14本塁打を放った強打で高橋を打ち崩したい。打線の中軸は、昨夏の甲子園で1年生ながら4番を務めた左打者の前川右京だ。昨秋は打率5割8分6厘、6本塁打、17打点をマークし、チーム3冠王に輝いた。

 この前川を筆頭に上位から下位まで切れ目のない打線は昨秋の奈良大会5試合で計59安打55得点を挙げ、近畿大会4強まで進出する原動力となった。

 投手陣は球のキレが持ち味の左腕・西村王雅と球威のある大型右腕・小畠一心の両2年生が中心となる。序盤からリードを許さないようにしたい。

 智弁学園が勝つためには先制点が必須となる。逆にいきなり先制点を取られると苦しい展開になりそうだ。

 最後に紹介するのはこの春の選抜に21世紀枠で出場するハズだったチームの試合だ。3校が該当するなかで選んだのは福島県の伝統校・磐城だ。大会4日目の第2試合で国士舘(東京)と激突する。

 磐城は1896年創立の福島県内屈指の進学校で有名OBを多数輩出している。磐城に入学するために“浪人”までする中学生もいるなど、逸話も多い。

 そんな名門校の野球部の中心となっているのは、エースの沖政宗と岩間涼星のバッテリーだ。沖は最速140キロ超の直球に加え、6種類の変化球を打たせて取るピッチャーだ。昨秋の公式戦では9試合に登板し、防御率はなんと驚異の0・90をマークした。これはセンバツ交流試合に出場する32校の主戦投手では2番目にいい数字となっている。その沖の女房役の岩間はチーム1の打率4割を誇る。

 対する国士舘は18、19年と2年連続秋季東京都大会を連覇した実力校である。昨秋の東京大会全6試合で二ケタ安打を放つなど、長打力は抜群だ。主将の鎌田州真と黒沢孟朗がその中心だが、勝負強い2年生の清水武蔵ら、頼りになる下級生も少なくない。

 投げでは長身の右腕・中西健登の投球に注目だ。昨秋の公式戦では8試合に登板し、4完封を含む6完投で防御率1・31をマークした。

 その大きな要因となったのが、定評のあるキレのある変化球だろう。スリークオーターから繰り出す2種類のシンカーを中心に多彩な変化球を投げ分けた投球術はお見事のひとこと。

 磐城はこの中西攻略のためにバントや積極的な走塁でチャンスを作り、4番の岩間につなげたいところ。国士館打線を押し込めれば、勝機はみえてくる。

 以上、2020甲子園高校野球交流試合全16カードのうち、注目の5試合をご紹介した。いずれ劣らぬ熱戦を期待したい。

上杉純也

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月9日 掲載