今年のペナントレースも4分の3を消化し、セ・リーグでは巨人が独走、パ・リーグではソフトバンクとロッテのマッチレースということもあって、早くも“秋の訪れ”を感じているファンも多いはずだ。そうなると注目が集まるのがオフの補強である。

 ドラフト候補の話題が増え始め、FA権を取得した選手も気になるところだが、もうひとつ注目が集まるのが外国人選手の動向である。昨年オフにもバレンティンがヤクルトからソフトバンクへ移籍し、オリックスを退団したロメロを楽天が獲得するなどの動きがあった。そこで今回は他球団が獲得に動きそうな外国人選手をピックアップしてみたい。

 まず最大の目玉となりそうなのがソト(DeNA)だ。2018年に来日すると、2年連続でホームラン王を獲得。昨年は打点王にも輝いている。今シーズンは少し調子が上がらない時期はあったものの、9月に入るとホームランを量産し、変わらぬ長打力を見せつけている。DeNAは2019年から2年契約を結んでいるものの推定年俸は1億8500万円と、実績を残した外国人選手としてはそこまで高額ではない。

 残留となれば、ここから大幅なアップが必要となり、交渉がもめる可能性も大いに考えられる。今年で31歳とまだまだ若さがあることから、メジャー球団も注目していると言われているが、国内への移籍を希望するようなことになれば争奪戦が勃発することは間違いない。常に大物を狙う巨人、デスパイネに衰えが見えているソフトバンク、近年大型補強が目立つ楽天などは獲得に動く可能性が高いだろう。

 パ・リーグで注目を集めているのが、マーティン(ロッテ)だ。昨年のシーズン途中でロッテに入団すると、打率は低かったものの14本塁打、39打点をマーク。2年目となった今シーズンは日本の野球に対応して、さらに成績を伸ばし、ホームラン王争いにも加わっている。長打力はもちろんだが、打つ以外のプレーも高水準というのが大きな魅力だ。特にライトから見せるスローイングは速さと正確さを備えており、ここまでリーグトップクラスの補殺数を記録している。

 また、十分な脚力を誇り、強打の外国人選手にしては珍しく盗塁数が多いというのも持ち味だ。推定年俸は昨年オフの契約更改で大幅にアップし1億6000万円といわれているが、単年契約であり、ソトと同様に残留となれば大きな上積みが必要となってくる。慢性的に長打力が不足しているロッテにとってはもちろん必要な選手であるが、外野が比較的選手の数が揃っているだけに、あまりに高額の要求となれば、交渉が決裂することも十分に考えられる。外野手の世代交代が課題で新外国人のパーラも故障が多い巨人や、同じく外野手の外国人選手であるアルモンテが安定しない中日、糸井嘉男と福留孝介がいよいよ戦力として厳しくなってきた阪神といった、セ・リーグの球団は狙いたい選手だろう。

 投手では西武の新外国人選手、ギャレットに注目が集まる可能性がある。メジャーでの目立った実績はないものの、開幕当初からセットアッパーに定着し、ここまでチームトップタイの16ホールドをマークしている。

 最近は疲れからか、少し成績を落としているとはいえ、8月にはNPB歴代2位タイとなる162キロをマークするなど、そのストレートの勢いは12球団の中でもトップクラスだ。さらに魅力なのが今年で27歳という若さと、推定年俸5000万円という安さである。

 投手陣の苦しい西武はもちろん全力で残留交渉を行うことが予想されるが、抑えの増田達至、外野の金子侑司と国内FA権を取得した選手との兼ね合いもあって、あまり高い条件を提示できない可能性もある。仮に、西武を退団して国内球団への移籍ということになれば、リリーフ陣が苦しい球団は多いだけに、一番の争奪戦に発展する可能性が大きい。

 NPBのルールでは日本人選手はFA権を行使しないと他球団と交渉をすることはできないが、外国人選手に限っては適用されず、契約が切れれば、オフは実質的にFAとなる。契約交渉が長引けば、それだけ現在所属している球団は不利となるのだ。今年は新型コロナウイルスの影響でアメリカではマイナーリーグがシーズン中止となっており、新外国人の調査が難航している。そういう背景もあって、このオフは例年以上に外国人選手の国内での移籍が活発になることも十分に考えられるだろう。

※成績は9月19日試合終了時点

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年9月22日 掲載