セ・リーグ連覇に向けて快調に首位を独走する巨人。シーズン中にも積極的に交換トレードを行い、9月21日には新人テストを実施するなど補強に対しても余念がないが、その一方で気になる話題もある。現在支配下登録の枠が70人の上限に達していることもあり、大塚淳弘球団副代表編成担当のコメントによるとオフには10人以上の選手を自由契約、もしくは育成契約へ変更することを検討しているというのだ。果たしてその候補となる選手は誰なのか。今シーズンのプレーぶりから探ってみたい。まず今シーズン、9月24日時点で一軍出場のない支配下登録選手を年齢の高い順から並べてみると以下のような顔ぶれになった。

【投手】
岩隈久志(39歳)、野上亮磨(33歳)、田原誠次(31歳)、戸根千明(28歳)、
高橋優貴(23歳)、太田龍(22歳)、横川凱(20歳)、堀田賢慎(19歳)、井上温大(19歳)

【野手】
田中貴也(28歳)、山本泰寛(27歳)、村上海斗(25歳)、香月一也(24歳)、増田陸(20歳)、松井義弥(20歳)、山下航汰(20歳)、菊田拡和(19歳)、山瀬慎之助(19歳)、伊藤海斗(19歳)

※年齢は今年の満年齢

 まず、真っ先に候補となりそうなのが岩隈、野上という実績のあるベテラン投手二人だ。岩隈は昨シーズン終盤に二軍で実戦復帰を果たしたものの、今年は調整の日々が続いておりいまだに二軍ですら登板を果たしていない。大幅減俸によって今年の推定年俸は2000万円とコスト的にはそれほどかかっていないが、来年で40歳という年齢を考えると復活は難しいと考えるのが妥当だろう。

 野上は2018年にFAで加入し、今年が3年契約最後の年となるのが、ここまで二軍でも防御率5点台と全く戦力になっていない。推定1億5000万円という高額年俸を考えても、真っ先に整理対象に挙がる可能性が高いだろう。

 投手では田原、戸根の中堅二人も厳しい状況だ。田原は二軍で24試合に登板しているものの防御率は5点台と安定感を欠いており、戸根は二刀流挑戦で話題となっているが、肝心の投手としては9月に左肘のクリーニング手術を受けるなど故障が続いている。ともに貴重な中継ぎタイプではあるが、状態が上がらないとなれば自由契約を言い渡される可能性も十分にありそうだ。

 一方の野手は全体的に若手が多いだけに、いきなり自由契約という選手は少なそうだが、育成契約に切り替えるという選手は多く出てきそうだ。山本は昨年一軍で92試合に出場しているだけにもう一年猶予はありそうだが、田中と村上はかなり厳しい状況と言える。田中は2014年に育成ドラフト3位で入団して、2017年シーズン途中に支配下登録を勝ち取ったが、ここまで一軍出場はわずか2試合にとどまっている。現在の巨人の捕手は実力者が揃っており、かつてのレギュラーである小林誠司ですらなかなか出番がないということを考えると、そこに割って入るのは相当難しいと言えるだろう。

 村上は2017年のドラフト7位で入団したが、1年目、2年目とも二軍でも1割台中盤の打率に終わり、今シーズンは主に三軍の試合に出場しているがそこでも打率は2割に届いていない。大型で運動能力の高さは魅力だが、これだけ結果がついてこないとなると、支配下登録の継続は難しそうだ。

 ここまで挙げた選手は6人で大塚副代表が示唆した10人以上という人数にはまだまだ足りない。そうなると投手では中堅の藤岡貴裕、宮国椋丞、野手では吉川大幾、立岡宗一郎などの中堅組も候補となる。藤岡はかつてのドラフト1位、宮国はエース候補とも言われていた投手だが、ここ数年の成績を見るとここから急激に改善することは考えづらい。吉川と立岡も複数のポジションを守れるという強みはあるものの、同じタイプの若手が育ってきているだけに厳しい状況だ。

“リストラ”といえば、非情なイメージがつきまとうが、プロ野球は実力の世界なだけに、選手の入れ替えは必要不可欠である。また、好調な時期にあえてこのような方針を打ち出すことで、チーム内に緊張感を持たせるという狙いもあるはずだ。残りのシーズン、今回、紹介したような選手たちの来季に向けての生き残りレースにも注目したい。

※成績は9月24日現在

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年9月29日 掲載