元広告代理店勤務の著述家が発した“五輪中止”情報がネットを駆け巡った。〈IOCが東京五輪中止を決定、内々に日本政府、組織委、電通に伝達との内部情報〉を入手したという。

「“複数関係者が証言”とのことですが、本当なら、首相、五輪相、組織委会長らトップしか知らないはずですけどね。3月に延期が決まった時がそうでした」

 と全国紙デスクが語る。

「もしくはIOCがリークして先に海外メディアが報じるはず。念のため後追い取材をしましたが、裏は取れず。結局“信憑性は低い”と判断して記事にしませんでした」

 著述家氏によると、中止の決め手は〈欧州諸国でコロナ感染者数が爆発的に増加〉しているためというのだが、

「無観客ながら、欧州ではゴルフの全英女子オープン、テニスの全仏が開かれました。柔道の国際大会が再開し、新たな水泳の大会も始まるなど、むしろスポーツの機運は高まっています」

 そもそも、

「“五輪は欧州のもの”と言いますけど、商業化が進んだ現代では“五輪はアメリカのもの”、厳密に言うと、夏冬4大会で44億ドル(約4607億円)もの放映権料を払っている“米テレビ局NBCのもの”なんです。先だってIOCと組織委が“開閉会式を簡素化する”と発表しましたけど、NBCがダメ出しして立ち消えになってしまいました」

 では、そのアメリカはどうなっているかというと、欧州以上にさまざまなスポーツが再開している。また、

「バスケのNBAは来季日程を前倒しする見込み。五輪に選手を派遣するためです。つまり現状では、アメリカは五輪が開催されると思っているんです」

 もっとも、

「自民党総務会長が“十数カ国が参加できなくても五輪として成立する”と発言しましたが、アメリカが参加しなければ五輪は成立しません。そんな大会をNBCが放映するわけないですし、そうなれば放映権料を払いたくない彼らは五輪を中止に追い込むはずです。延期の際も、トランプ大統領が“延期かも”と呟いたことが呼び水となりました」

 風はアメリカから吹いてくる。コロナ対策も争点になっている大統領選だって五輪の命運を左右しかねないのである。

「週刊新潮」2020年11月5日号 掲載