9月まではロッテと激しい首位争いを繰り広げていたが、シーズン終盤に怒涛の大型連勝で一気に優勝へのラストスパートをかけたソフトバンク。巨人のV9以来となる日本シリーズ4連覇へ向けて、まさに常勝軍団とも言うべき戦いぶりを見せている。しかし、野手の個人成績を見てみると、柳田悠岐以外で目立つのは周東佑京の盗塁数くらいであり、固定できているポジションは少なく、準レギュラークラスを上手くやりくりしながら戦っているというのが現状である。来季に向けて現状のメンバーをどう判断するのか。整理対象となりそうな選手を探ってみたい。

 まず、真っ先に名前が挙がるのは内川聖一になるだろう。打率3割を8回マークし、史上二人目となる両リーグでの首位打者を獲得するなど長くチームの中心打者として活躍してきたが度重なる故障で成績を落とし、今年は開幕から二軍暮らしが続いている。二軍の打撃成績自体は決して悪いものではないが、シーズン終盤になっても一軍から声がかからないのを見ると、首脳陣の構想から外れていると見るのが自然である。昨年のオフには大幅ダウンとなったとはいえ、推定年俸は2億4800万円とまだまだ高額だ。来年で39歳という年齢を考えても、退団が決定的になっている。10月28日付のスポーツ新聞各紙は、内川自らが来季の戦力構想からも外れていると判断して、他球団での現役続行を模索するため、球団側に今季限りでの退団の意向を申し入れたと報じた。

 野手では、デスパイネとバレンティンの二人も微妙な立ち位置となっている。デスパイネは新型コロナウイルスの影響で来日が遅れたことも影響してかなかなか状態が上がらず、シーズン終盤には故障で離脱するなどほとんど戦力となっていない。昨年までの実績は申し分なく、短期決戦に無類の強さを発揮するという点は魅力だが、今年が3年契約の最終年であり、来年で35歳と完全にベテランに差し掛かっていることを考えると、今季限りで退団ということもありそうだ。

 バレンティンは今年から日本人選手扱いとなり、来シーズンまで2年契約を結んではいるものの、打率1割台と極度な不振に陥っており、楽観視できる状態ではない。契約条件の詳細は不明だが、最悪途中で契約破棄という事態もあり得ない話ではないだろう。他にもかつての首位打者である長谷川勇也なども年齢的なことを考えると整理対象に入ってくる可能性はありそうだ。

 一方の投手では、2017年にシーズンMVPにも輝いた元クローザーのサファテの状態が気がかりだ。契約は来年まで残っており、先日再び股関節の手術を受けたことが発表されたが、8月には自身のSNSで引退を示唆する発言も見せている。回復の見込みがなければ契約を1年残したまま引退という可能性も高い。先発で実績のあるバンデンハークも故障で昨年は2勝に終わり、今年はさらに成績が悪化している。残りのシーズンでよほどの復活を見せなければ退団が濃厚だろう。

 いきなり戦力外という可能性は低いが、トレード要員として見られる可能性がありそうなのが武田翔太と今宮健太だ。武田は2015年から2年連続で二桁勝利をマークしたが、それ以降は年々成績が悪化。今年もここまで防御率7点台とその流れを止めることができていない。投手陣は若手に有望株が多いだけに、先発不足に悩む球団にトレードした方が本人にとってプラスになるとも考えられるだろう。

 リーグを代表する名手と言われた今宮もまた下半身の故障が相次ぎ、今年はレギュラー獲得後最低の成績となることが決定的だ。二遊間は周東、川瀬晃、牧原大成といったところがレギュラー格となっており、今宮を放出するというプランもあり得ない話ではない。武田、今宮ともに九州の高校からドラフト1位で入団した生え抜きだが、その立場は完全に危うい状態と言える。

 冒頭でも述べたが、野手を中心にレギュラー陣が入れ替わる時期に差し掛かっていることはゆるぎない事実である。実績があるベテラン選手をどう扱うのか。このオフの最大の注目ポイントと言えるだろう。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年11月1日 掲載