文大統領と昵懇の反日ロビー

 与党「共に民主党」などが300議席中180議席を獲得する大勝を収め、文在寅大統領のもとで一層の“反日政策”が進むと見られる韓国。本当に民主主義国家かと耳を疑うような驚きの“反日法”が目白押しである。

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 その1つが、以前、デイリー新潮の記事でも紹介した「親日称賛禁止法」である。
(「『文在寅』圧勝で確定“日本を褒めることを禁止する”法案のヤバい中身」参照)

 この法案は2018年12月20日、「共に民主党」の朴光温(パク・グァンオン)議員が韓国国会で発議した「日本の植民地支配と日本軍の性奴隷制度の被害者に対する虚偽および情報操作禁止法」(刑法及び、情報通信網利用促進及び情報保護などに関する法律改正案)に端を発したものだ。なんとも物々しいタイトルである。

 朴議員は、この法律について、自身のFacebookで次のような説明をしている。
 
《日本軍による慰安婦被害者をはじめ、日本植民地時代の植民統治と侵略戦争行為に対し、歪曲、賛美や鼓舞または宣伝する者に2年以下の懲役や2千万ウォン以下の罰金を賦課する》

《ただし、歴史再現の映画やドラマのように芸術用として使用したり、教育、研究、報道などの目的である場合には除外される》

《さらに、歴史的歪曲を内容とするものは違法な情報として、オンラインで流通することを禁止する。また、そのような違法な歴史歪曲コンテンツについては、インターネットプラットフォーム事業者が自主的に削除する義務を課す。かかる義務に違反した場合、最大650億ウォン相当の罰金を科す》

 この法案自体は18年の国会では成立せず、未だ日の目を見ていない。しかし、目下の韓国政界では、「光復会」なる圧力団体が、この法案を再び成立させようとロビー活動を活発化させているのである。

 そもそも「光復会」とは、日本の植民地支配時代に抗日独立運動を担った運動家の遺族たちで構成された団体で、19年に会長に就任した金元雄(キム・ウォンウン)氏は、廬武鉉元大統領と親しいことでもよく知られている。

 文大統領が廬武鉉政権で大統領秘書室室長を務めていたというのはあまりに有名な話だが、その時代の名残か、文大統領もまた光復会のトップとは昵懇なのである。

 そんな「光復会」がこのほど改めて成立を目論む「親日称賛禁止法」は18年に提出されたものよりはるかに過激といえる。

 たとえば「光復会」は「親日称賛禁止法」の“関連法案”として「独立運動功労者法」「慰安婦被害者法」「強制動員調査法」などを提案している。これらは文字通り、「独立運動家」「慰安婦」「強制徴用工」について、政府の歴史解釈と異なる歴史を語ることを禁止するものである。

「反日種族主義」執筆者らは肩身が狭い?

 仮に日本で“伊藤博文は韓国の植民地支配を推進した悪人だ”と罵ったとしても、言論の自由が保障されているから罰せられることはない。それが、韓国では刑罰の対象となってしまうとすればぞっとする話だ。

 さらに「光復会」の反日法はエスカレートを見せる。

 かつて韓国では「日帝強制占領下の親日反民族行為真相究明に関する特別法」という法律が存在していた。これまたおどろおどろしい名前だ。06年から09年にかけてこの法律に基づいて、大統領直属の「親日反民族行為真相究明委員会」が、歴史上の人物に“親日”や“反(朝鮮)民族”のレッテルを張り付けるという恐ろしい政策が実行されたことがある。東亜日報の創立主の金性洙(キム・ソンス)氏、名門・梨花女子大の元総長の金活蘭(キム・ファラン)氏、韓国現代美術の巨匠の金基昶(キム・キチャン)画家など、日帝植民地時代に活躍した1,005人の知識人が新日派と発表された。

 この政策により、韓国で過去に叙勲を受けた人物のうち、68人が親日・反民族の思想があったと国から認定され、さらにこのうち9人については実際に叙勲が取り消されるに至った。当時は叙勲取り消しのハードルが高かったのでこの人数に留まったが、今回は残りの59人についても叙勲を取り消せるような法律を作るべし、ということのようだ。

 そして、叙勲の取り消し程度では飽き足らない「光復会」は、さらなる暴挙に出ようとしている。

 なんと、この特別法で仕分けられてしまった“親日”“反民族”の人物のうち、韓国の国立墓地に埋葬されている11人の骨を掘り返せというのである。

 彼らの言葉を引用すれば、

《現行の叙勲法を改正し、親日反民族行為者を叙勲取消しの対象に明示することにより、叙勲の栄誉性を高めることを提案します》

《現行の国立墓地法を改正し、親日・反民族行為者の国立墓地の埋葬を禁止し、すでに国立墓地に埋葬されている場合でも、その埋葬禁止を強制できる規定を設けることで、国立墓地の栄誉性を高めることを提案します》

 つまり、光復会は、朴議員の「親日称賛禁止法」に、反日人物のお墓を掘り返すことを認める「国立墓地法改正案」、反日人物の叙勲を取り消す「叙勲法改正案」をプラスした法案の成立を推進しているわけだ。

 韓国国内でほとんど取り上げられることがないためあまり知られていないが、韓国にも政府が主張する“歴史”に批判的な研究者や団体が存在する。具体的には、『反日種族主義』を執筆した李栄薫(イ・ヨンフン)氏や、李宇衍(イ・ウヨン)氏、慰安婦像や徴用工像について批判的な「反日銅像真実究明対策委員会」、挺対協と尹美香(ユン・ミヒャン)氏を批判しているインターネットメディアの「メディアウォッチ」、韓国の歴史教科書の左傾化を研究する「国史教科書研究所」などだ。

 これらの研究者や団体は文政権の残り2年の任期中、さらに肩身の狭い思いを強いられることになるだろう。いや、それだけに留まれば御の字、なのかもしれない。

金昌成
韓国在住のジャーナリスト。韓国政財界や芸能界など幅広い分野で記事を執筆。来日経験も多く、日韓関係についても精力的に取材を行っている。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年5月11日 掲載