透明性抜群の募金と寄付で不正を突く

 日本軍慰安婦だったと主張してきた李容洙(イ・ヨンス)氏が、正義記憶連帯(正義連)と尹美香(ユン・ミヒャン)を告発したのは2020年5月のことだった。慰安婦被害者の名を借りて私腹をこやし、慰安婦のおばあさんたちをサーカスの熊のように利用して嘘ばかりを言ってきた、正義連は解体されなければならないと記者会見を行ったのだ。これに対して国会議員となっていた尹美香はカネの流れを証明できないまま。それはそんなに難しいことなのか否か。敢えて尹美香らが行ったのと同様に、広く募金を集めることで真相に迫ろうとしたのが余明淑(ヨ・ミョンスク)氏。かつて政府の不正を告発して時の人となった彼女自身が綴る。

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 5月19日から6月4日までの17日間、私の個人口座に皆様が送ってくれた後援金は9160万4061ウォン(約825万円)。約2500ウォン程度の利子を含みます(笑)。

 韓国の政府機関「女性家族部」のホームページに、生存している慰安婦被害者のおばあさんたちは18人と書かれているとき募金を開始しましたが、その後1人が亡くなり、17人になりました。一人当たり538万8474ウォンずつを入金しようと思います。

 お金を送ってくださったのは、私のYouTubeなどをご覧になった2500人の個人。募金を始めると放送で宣言してから1時間ほどで1000万ウォンが入金され、24時間で5500万ウォンが入ってくるのを見て驚きました。皆この状況に失望していたのです。以下のようなメッセージが寄せられました。

「おばあさんたちは安全でなければいけない」「どれだけ権力の庇護を受けながら嘘をついたり、だまし取ったりしても、いつか犯罪は明らかになって処罰されるはずだが、いま誰がおばあさんたちを保護するのか?」「おばあさんたちは時間がない」「だまされ続けたという恨みを持ったまま逝ってはいけない」「尹美香と正義連がどれほど性悪か、全国民がみんな知っているから、おばあさんたち、さびしく思わないでください」「残された人生を平安に楽しく過ごしてください。美味しいものを食べ、孫達と楽しく過ごしてください」

 一番大きな金額は100万ウォン。その額を入金してくれた中の1人は多くの子供を育てる若い夫婦だそうです。正義連の事態を見て胸が苦しく、豊かな生活ではありませんが、おばあさんたちにぜひ美味しいものを食べてほしいという気持ちで、節約して貯めたお金を送ったそうです。昼食代を節約して過ごした学生たち、休暇のデート費用を節約して送った将兵たち、1週間カフェに行かずにお金を貯めて送ったコーヒー好きのOLなど、胸がいっぱいになるメッセージでした。10ウォンたりとも無駄に使ってはならず、通帳の内訳をガラス張りして随時公開するのはこれらを受け付けた者の義務です。

 寄付金を募ってこれを受け渡す過程で一番簡単なことは、通帳の内訳を公開することでした。通帳をキャプチャーして皆に知らせる所用時間は毎日5分ぐらいです。国民は「集めたお金を何に使ったのか」と尹美香に尋ねますが、彼女はどうして返事をしないのでしょう。その間に、そのお金をどこに使ったのかを知っているらしい人は亡くなっていく。あぁ、恐ろしい。

 最も難しかったことは、寄付金を渡すため、おばあさんたちの連絡先を探すことでした。正義連に何十回電話しても絶対に出ません。音声メッセージを残し、Eメールを送っても絶対返事をしてくれません。ソウル市庁、行政安全部、女性家族部、すべてに連絡して文書を送ったところ、ソウル市庁と行安部から、請願は女性部に移送されたというメールが来ました。当然そうです。慰安婦被害者支援事業は女性家族部が管轄しているのですから。でも、彼らも情報がないのです。

 それから、本当のコメディが繰り広げられます。女性家族部宛に、おばあさんたちへ正義連を通さず直接お金を渡す方法を教えて欲しいという文書を提出したら、それをソウル市庁に移送したというメールが送られてきました。あきれました。

 その後、ソウル市からまたメールが届きます。案の定、さきほどの苦情は、女性家族部へ返送されたという内容です。

 一番重要なことはおばあさんたちに残された時間はとても少ないということ。だから急いでお金を募り、おばあさんの手に渡さなければならない。6月2日に送った私たちの文書に対して、女性家族部から来た返事は6月10日。緊急な事案に対して怠慢な行政も問題ですが、その厚かましい内容を見ると、女性家族部の存在理由はそれこそ人権蹂躙と血税の無駄使いのために存在するのではないかと思います。以下、よくご覧ください。

女性家族部の驚くべき返信内容

2020-06-10
《おはようございます。貴下は日本軍慰安婦被害者たちに寄付金を渡すために連絡先を提供することや、寄付金を伝達できる方法を提示してくださいと言いました。まず、日本軍慰安婦の被害問題に関心を持って請願をくださり、ありがとうございます》

《慰安婦被害者の方々の連絡先は緊密な個人情報としてお知らせできないことをご了解ください。また、寄附金品の募集及び使用に関する法律第4条に、寄附金品の募集を行おうとする者は「募集、使用計画書」を作成し、行政安全部長官または特別市長、広域市長、道知事、特別自治道知事に登録しなければならないと明示されています。そのため、具体的な手続きは、行政安全部民間協力課または寄付金募集登録を希望する自治体にお問い合わせください》

《女性家族部は、慰安婦被害者支援の主務機関として被害者に生活安定支援金、看病費を毎月支援し、医療費、住居の改善など、適合型支援などを通して、健康で気楽に老後を送ることができるように細心を心がけています。また、慰安婦被害者の名誉回復と戦時下、女性人権の観点から慰安婦問題を記憶するため、「慰安婦メモリアルの日」を契機とし、国家レベルの記念事業を推進しており、未来世代に日本軍慰安婦被害者に対する歴史的真実と戦時下の性暴力問題関連の認識を高めるため、国内展示、学生・青少年公募展など、様々な記念事業を同時に行っています。これからも日本軍慰安婦被害者の方々の傷を癒し、名誉と尊厳を回復する政策に最善を尽くします》

 正義連、女性家族部……これらの詐欺行為が長年持続できた理由は、慰安婦被害者のおばあさんたちの身元情報を独占して活用してきたからです。

 この国では今、寄付金に関して、信じて任せられるシステムがどこにもないというのが現実です。一体どれだけ長い期間、寄付者たちは騙されて来たのか。

 ともあれその後、ナヌムの家(日本軍の慰安婦であったと主張する韓国人女性数名のため、寄付金と補助金を集めて運営される施設)にお住まいのおばあさんの通帳番号について、無事に知ることができました。

 ナヌムの家には全部で5人のおばあさん達が居住していますが、自分で直接通帳管理をする方も、家族が代わりにしてくれる方もいます。ナヌムの家運営30年の歴史上、入ってきた後援金がおばあさんたちに直接渡されたことは一度もなかったそうです。

文政権下で幾何級数的に増えた各種寄付団体

 訪問前にナヌムの家のホームページにある電話番号に電話したら、社会福祉士の先生が親切に案内してくれ、正義連や女性家族部とはあまりにも対照的で驚きました。おばあさんたちに、美味しいものをご馳走したいという気持ちで、孫のような人たち2500人から集めたお金をおばあさんたちに渡したいと言ったら、とてもありがたいと言ってくれました。しかし、私たちがお金を渡すのを良しとしない勢力からの圧力も相当なものがありました。

 以前は訪問者達がおばあさんと直接会うことができましたが、コロナ禍にあってそれは不可能なのだそうです。おばあさんたちが一番好きな果物でも買って行くと言ったら、マンゴーが一番好きだと教えてくれました。ちなみにそのマンゴーは寄付金に関する法律が厳格であるがゆえに、皆さんが送ってくださったお金で買うことはできず、私や弁護士ら3人が現金で買うことになりました。

 寄付金管理法がこれほど細かく定められているのに、尹美香はおばあさんのところに行くはずのお金をどうやって他のところで使えたのだろうか。誰が他の用途に使って良いと承認したのか。マネーロンダリングの話まで出ている中で、文在寅大統領が寄付金透明処理法案について精査せよという指示を下しました。にもかかわらず、大統領府は口を閉ざしたまま。国民に対していつまで沈黙を続けるのか。ここまでくると、寄付金制度の構造をしっかりと見せてくれた尹美香と正義連に感謝すべきなのかもしれません。

 ナヌムの家は、京畿道広州(キョンギド・クァンジュ)の空気が良いところにあります。

 面談を終えて庭に出ると、通帳を直接管理する能力があるおばあさんの一人がちょうどそこにいました。2人の職員が支えて一緒に遊んであげていました。私が近づいて「おばあさん、美人です」と言ったら、「私、きれいですか? オホホ」と喜んでいました。「おばあさん、美味しいものたくさん食べて長生きしてください」と言うと、「そうだ、マンゴー買ってくれてありがとう」とおっしゃいました。職員たちがケアする雰囲気は洗練されており、何よりもおばあさんが健康そうで、心が少し楽になりました。

 文政権下で幾何級数的に増えた各種寄付団体の正体は何か、寄付金管理の透明性を強化しろという大統領の指示に平気で唾を吐く寄付団体の悪質さ……。ソウルに戻る途中、多くの悩みに気持ちが沈みましたが、それでも戦いを共にする仲間が1人、2人と増えていく喜びもあり、次の“戦闘”に向けて準備します。

 何より問題は透明性ゼロの会計帳簿であり、正義連と尹美香の横領と背任疑惑、ダーティーマネーがどう分配されたか、そのお金を元に反日世論がどう作り上げられたかです。それらはすべて、時間がかかっても検察やメディアが明らかにしなければならないことですが、より根本的な問題は、おばあさんらが悔しさのあまり亡くなることがないよう、すぐにおばあさんらを安全に保護することです。と同時に、特定権力集団の組織的犯罪に騙されてきた寄付者たちと普通の人々の傷を癒すことも喫緊の課題でしょう。

余明淑(ヨ・ミョンスク)
ゲーム物等級委員会の委員長時代に政府、組織の不正を告発し時の人となる。現在、自身のYouTubeチャンネルにて慰安婦問題に対し厳しく追及を行う。
1999年、梨花女子大学を卒業。哲学博士(心理哲学専攻/仮想現実の存在論の研究)。2002年、スタンフォード大認知科学センター(CSLI)ポスドク。2004〜2008年、KAIST電算学科BK21研究員、2008〜2011年、ソウル大学融合技術院研究企画本部責任研究員、2011〜2015年、浦項工科大学ウィンドウIT融合工学科教授。2015〜2018年、ゲーム物等級委員会委員長。mail: suzieyoh@gmail.com

週刊新潮WEB取材班編集

2020年7月1日 掲載