日本は1位に「家族」を選んだ

 米国の世論調査機関「ピュー研究所(ピュー・リサーチ・センター)」が世界17カ国の先進国を対象に「人生で最も価値があると思うものは何か」という問いにどう答えるかについて調査した(11月18日発表)。その結果、17カ国のうち14カ国が、他のどの要因よりも人生で価値があるものとして「家族」をあげた。一方で韓国人だけが「物質的な幸せ」を1位に挙げたという。この調査から透けて見える彼らの考え方や行動原理について、現地在住・羽田真代氏が考察する。

「ピュ―研究所」は、2021年に入ってから2度、世界17カ国・先進国の成人1万8850人を対象に、電話・インターネットによるアンケート調査を実施。「あなたが人生で最も価値があると思うものは何か」と質問し、回答は「物質的な幸せ」「健康」「家族」など19種類のカテゴリーに分類して計測した。

 日本の場合、1位:家族、2位:物質的な幸せ、3・4位(同率):職業/健康、5位:趣味で、1・2位だけを見ると、オランダ、ベルギーと同じだった。

 他方、韓国人が選んだ「人生で最も価値がある」順序は、1位:物質的な幸せ、2位:健康、3位:家族、4位:一般的な満足感、5・6位同率:社会/自由だった。

“絶対悪の日本”を韓国内から排除すれば

 物質的な幸せとイコールではないが、一般的に韓国人のブランド信仰は強く、自分の好みでなくても流行り物には手を出しがちだと言われる。クルマは国産よりも輸入車に乗っている方が何かと丁寧に扱われるから、カネに余裕がなくても背伸びをして輸入車に手を出す傾向がある。物質的な幸せへの渇望を物語る事例は枚挙にいとまがない。

 今回の調査結果は韓国側のメディアにもいくつか取り上げられており、そこに寄せられたコメントには、「今の(経済が不安定な)状況を見てみろ。こう回答するしかないじゃないか」「現政権は先進国入りを宣言したが、それはインチキで全く意味がない」などとあった。

 文在寅大統領が音頭を取って日本製品不買運動を国民をあげて行ったのも、“絶対悪の日本”を韓国内から排除すれば、欲求が満たされるという考えがあったはずだ。しかし、社会に日本製品が浸透し過ぎており、それなしでは生活が立ち行かず、物質的な幸せを満たすことができない。やがて、生活に不可欠な日本製品は排除しない「選択的不買」が進行することになる。

 不買運動が雲散霧消してしばらく経つが、韓国人のメンタリティを考えれば自明の結果だったのかもしれない。

家の修理を業者に頼んでも工具を持参しない

 ところで、17カ国の中で1・2位に最も多かった回答が「家族」「健康」で、それをあげたのは9カ国にのぼる。17カ国のうち14カ国が、他のどの要因よりも人生で価値があるものとして「家族」をあげた。

「家族」の次に回答率が高かったのは「職業」で、イタリアで43%と最多(イタリアのみ1・2位が同率で家族/職業)。一方、韓国で「職業」を選んだのはたったの6%で、調査国の中で最低の数字だった。

 韓国で働くことに対して誇りや生きがい、こだわりや高い倫理観を大事にしている人はそう多くないということなのだろうか。

 日本から来ると違和感をおぼえる光景に出くわすことがある。韓国ではバスやタクシーの運転手らに会社が制服を支給することはほぼない。社名がきっちり入った配達のオートバイが歩道を走行することは日常の光景だ。「会社の名に傷がつく」といったことは考えないのか、心配になる。

 家の修理を業者に頼んでも工具を持参しないケースもしばしばで、勤務中なのに携帯電話で友達らとオンラインでしゃべっている社員の姿もよく見かける。よく言えば自由、ということになるのだろうか……。

 かねて韓国では若者の就職難が指摘されてきたが、意図的に就職しない若者も少なくない。男性の場合、特に軍隊や留学で就職が遅れがちなのだが、30歳を過ぎても資格取得などを理由に正規職に就いたことがない人も多い。こうした環境で育まれた職業観が今回の調査結果に反映されたとも言えそうだ。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮編集部