「宝塚記念・G1」(28日、阪神)

 上半期最後のひのき舞台で、トップスターに輝いたのは2番人気のクロノジェネシス。レース史上最大となる6馬身差の圧勝劇で、G1馬8頭が顔をそろえた豪華な一番を締めくくった。終わってみれば、20年の牡馬混合G1は牝馬が4勝と大活躍。今後も“牝馬強し”を印象づけるべく、さらなる飛躍を誓う。2着は6番人気のキセキ、3着は12番人気のモズベッロ。1番人気のサートゥルナーリアは4着に敗れた。

 独壇場だった。好発を決めた芦毛の牝馬が、中団よりやや前、外めの絶好位で流れに乗る。3角過ぎに馬なりで進出し、4角では持ったまま先頭へ。北村友の左ステッキを合図に一気に後続を突き放すと、残り1F過ぎに鞍上がターフビジョンを確認する余裕まで見せた。レース史上最大の6馬身差V。G1馬8頭という豪華キャストがそろった一戦を、2番人気クロノジェネシスが文句なしの走りで制した。

 直前の豪雨がうそのような明るい空に、主戦は誇らしげに右手の人差し指を突き上げた。「本当に強かったです。馬場とか、ほかの馬を気にせず、自分の馬だけを信じて乗ればいいと思っていました。クロノジェネシスにフォーカスして褒めてほしいと思います」と手放しで相棒をたたえる。2着馬キセキの鞍上・武豊が「1頭化け物がいた」と舌を巻く驚異のパフォーマンスだった。

 前走の大阪杯で首差の2着と惜敗。「悔しい思いをした。もう一度、勝ちたい思いは強かったですね」。乗り代わりが当たり前の時代にあって、出走18頭中唯一、デビューから手綱を取り続けた。「感謝しかない。それに尽きます。結果で応えたいと思っていました。背中に乗っていられて幸せでした」。初めて無観客で行われたグランプリ。人馬の絆でタイトルをつかんだ姿が、多くのファンの胸に届いたに違いない。

 斉藤崇師も「前回から今回にかけて馬も随分、成長しましたね。直前の雨もこの馬に味方してくれたと思います」と明るい表情をのぞかせた。馬体重は、デビュー以来最高となる前走比プラス10キロの464キロ。「今回は装鞍所でもリラックスしていい雰囲気で臨めましたね」。心身ともにたくましくなった姿を大舞台で証明した。

 この勝利でコックスプレート・G1(10月24日・豪ムーニーバレー)、BCターフ・G1(11月7日・米キーンランド)の優先出走権も得られたが、今後は海外を含めて未定。師は「牝馬だけじゃなく男馬に混ざっても勝つことができたので選択肢が広がりました。これからも活躍してくれると思う」と、さらなる飛躍を期待した。進化を続ける4歳牝馬が、古馬王道路線で新たな時代を切り開いていく。