「女子ゴルフ・アース・モンダミンカップ・最終日」(29日、カメリアヒルズCC=パー72)

 渡辺、涙の復活V−。4位から出た渡辺彩香(26)=大東建託=が5バーディー、1ボギーの68を出して鈴木愛と通算11アンダーで並び、プレーオフの1ホール目でバーディーを奪って逆転優勝を果たした。2015年樋口久子Pontaレディース以来5季ぶりの通算4勝目。鈴木が2位。首位からスタートした21歳の田中瑞希は1オーバー73とスコアを伸ばせず、通算10アンダーで酒井美紀と並んで3位にとどまった。悪天候のため最終ラウンドは28日から順延。ウイルス感染対策のため史上初めて大会を通じて無観客だった。

 思わず目頭を熱くさせた。インターネット中継の勝利者インタビュー。渡辺は「長かったです。ここ2、3年は結構苦しかったので…」と話して言葉に詰まり、何度も涙をぬぐった。

 持ち味を存分に発揮した。18番パー5を使ったプレーオフの1ホール目。武器の飛距離を生かし2打目でピンまで30ヤード地点に運んだ。3打目を左奥4メートルにつけ、下りスライスラインを見事に沈めて、パターを持った左手を高々と上げた。

 「一番好きなラインだなと思って打ちました。入った瞬間はうれしいのと応援してくれた人たちの応援にこたえられたというほっとした気持ちでした」

 フェードで250ヤードを超えるドライバーショットを攻撃の軸とし15年には年間2勝を挙げて初の賞金1億円超え。日の丸エースと期待されたが、16年リオ五輪代表を惜しいところで逃してから成績が低迷。一昨年、昨年はシードも喪失した。

 原因は向上心が裏目に出たことにあった。「リオに行けなかったことで自分に足りない部分を補おうとして、もっとフェードの曲がり幅を狭めてストレートっぽく打とうとか、そういう気持ちが出てきて迷いにつながった」と振り返った。

 トンネル脱出のきっかけはいい意味の開き直りだった。「もう勝てないんじゃないかと悩んだこともあったけど、去年夏にやっぱり自分はフェードじゃないとダメなんだなと思った」。そこからは迷いを断ち切り、持ち球復活を目指した。オフは左へ出て右へ曲がるフェードだけを練習。いきなり新シーズン開幕戦で結果を出した。

 一番好きなクラブのドライバーを気持ちよく振って5季ぶり4勝目。美酒の味は格別だった。「ホステス大会で結果を残せなかった時は自分のふがいなさにプロとして失格だなと思ったこともありました。今日は好きなドライバーを打って優勝がついてきてくれた。すごく楽しかった」と感慨に浸った。

 新型コロナウイルス感染拡大の中で開催された開幕戦で歴史に残る優勝を果たした。「幸先よく勝てたので、これからはもっともっとフェードを磨き極めたい。遠い道のりですけど、東京五輪へ向けても頑張りたい」。少しばかり遠回りをした大器が再び夢を追い始めた。