ユニホームのデザインがチームの雰囲気を変える−。プロ野球で2010年代前半からファンサービスの一環として取り入れられた限定ユニホーム企画。阪神では「ウル虎の夏」と題し、来場者全員に限定ユニホームのレプリカを配布し、報道陣、スタッフにも着用を依頼するなど一大イベントへと成長した。当時、企画立案した阪神タイガース営業部・畑野幸博次長は「一体感を生む」と“戦闘服”に込めた思いを語った。

 近年のプロ野球界では、もう恒例となっている期間限定ユニホーム企画。普段の“戦闘服”とは違う奇抜なカラーとデザインは、チームと球場の雰囲気を大きく変える。それを一つのファンサービスとして考え、阪神で企画立案されたのが「ウル虎の夏」−。立ち上げ時にファンサービス担当だった畑野幸博営業部次長は、こう回顧する。

 「選手、首脳陣、ファン、スタッフが同じユニホームを身にまとい、一体となって戦うイベントをやりたいというのがスタートだった。時期もタイガースファンがより熱く興奮するイメージを描いて夏に開催しようと。ホークスさんが鷹の祭典をやっていらっしゃって、目玉の一つが限定ユニホームでした」

 期間中の来場者には、無料で限定ユニホームのレプリカが配られる。報道陣や球場スタッフ、グラウンド整備をする阪神園芸のスタッフも着用する。同じ色で統一された客席は雰囲気が変わり、独特のムードをかもし出す。「これまでの球場の雰囲気を変えてみたかった」と2014年には思い切って緑を基調とした限定ユニホームが作られた。

 タイガースのチームカラーは黄色、白色、そして黒色。当時、甲子園球場が生誕90周年だったこともあり、特別感を出すことが理由だった。選手たちも帽子のかぶり方を変えるなど、違うユニホームの着こなしを楽しみ「その時のチーム、ファンの評判も良かったですし。戦闘服にエンターテインメント性を持たせることはできたかなと思います」と畑野次長は回顧する。

 もちろん1試合ごとに約5万枚のレプリカユニホームを作成することで、通常開催よりも経費はかさむ。それでも「違った甲子園の雰囲気をファンの方に楽しんでもらいたい。選手と同じユニホームを着て、一体となって戦うゲームを演出したい」と明かす。

 現在では前売り時点で必ずチケットが完売するなど、虎党が待ち望む一大イベントへと成長した。今季もウル虎ユニホーム2020のデザインを発表していたが、コロナ禍の影響もあり、現時点で開催の可否は決定していないという。

 「最初に長く続けていけるようなイベントになればと思って企画したので。今年も何とか開催の道を探りたいですし、来年以降も続けていければ。コロナが収まって、再び熱さが集結する日が来ることを願ってます」。畑野次長が限定ユニホームに込めた思い−。ファンとチームの一体感を生み出すためには、同じ“戦闘服”が欠かせない。