鳴尾浜の室内練習場に響く乾いた打球音が外にも漏れてきた。井上のティー打撃だ。「いや〜、ほれぼれするね。あの体といい。やっぱり長距離選手(打者)の音。いい音出すよ」と、練習を見守った平田2軍監督をうならせた。

 ルーキーのスイングはそれほど衝撃的だった。右足首捻挫の影響で別メニュー調整が続くにもかかわらず、井上は力強いスイングを披露。「あまり緊張せず、自分のバッティングができたかなと思います」と2軍監督にあいさつ代わりとなる打撃を示し、納得の表情を浮かべた。

 身長187センチ、体重97キロの恵まれた体格で高校通算49本塁打。平田2軍監督は無限の可能性を感じている。「昨日(14日)、殿堂入りされた田淵さんはアーチストで。田淵さんを目標として、抜くような選手になってほしいね」と大先輩のような豪快な打撃に期待を寄せた。

 田淵氏の打球は滞空時間が長く、美しいアーチを描く本塁打でファンを魅了した。井上にもその素質は十分。「高校時代から(バットの)芯に当たれば滞空時間が長いというか、ギリギリのホームランというのはあまりなかったので。打った時にファンの方が『あぁ、行った!』みたいな形で言ってもらえるような。自分が一番フライで目立てるように」と球界一のアーチストになる目標を掲げた。

 自慢の打撃を向上させるため、常に強い探求心を持つ。練習では高校の先輩であるロッテ・安田が使用しているグリップに装着する重りを自らも導入。また、ヤンキースのアーロン・ジャッジや広島・鈴木誠の打撃を参考にするなど、研究に余念がない。

 「1年目なので、自分が使ってみたいとか、やってみたいというものに対しては、意欲とか自分の考えを持ちながらやっていきたい」と井上。若きスラッガー候補は将来、虎の主軸を担うための準備を進めている。