デイリースポーツ評論家の狩野恵輔氏(37)が、2年連続ゴールデングラブ賞を獲得した梅野隆太郎捕手(28)を直撃した。対談では同じ捕手目線で、梅野がチームを俯瞰(ふかん)して見ていることを指摘。梅野本人も2005年以来、15年ぶり優勝へ個人よりも「どうやったら勝てるか」を意識していることを明かし、“嫌われ役”も辞さない覚悟を語った。対談その1。

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 狩野氏(以下狩野)「どう、第2クールを終えて?」

 梅野「今年はワンクールずつ前倒しの感じがあるので、第1クールは練習量も多くて体も慣れていない。正直、体の張りやすさもあったんですけど、ここからゲームへの切り替えをやっていかないといけない。でも順調に来ています」

 狩野「もう3年、レギュラー捕手としてやっているし、正捕手と言ってもいい状況だと思う。その中で今年、キャンプを見ていて思ったことは、チームのことを見ているんだろうなと。言い方が悪ければ元気がないように見えるかもしれないけど、俺は周りのことを静観して見ているんじゃないかなと思う。チームリーダーとしてね。去年までは自分のアピールだったかもしれないけど、今年はチームをどうやって勝たせるかを考えているんじゃないかなって」

 梅野「そうですね。例えばですけど、外野手が練習の中でボールが来た時に、後ろから入れる打球を後ろから入らなかったり。そういうのを見ると『後ろから入れるでしょ』と言ってみたり。もっとチームのレベルを上げていきたいという思いがめちゃくちゃ強いです」

 (続けて)

 梅野「正直、人のことを見るし、人と話すようになりました。技術的にも、自分は内野手じゃないけど『もっとこうしたらどうか?』とか。そういうところを話すようになったし、見るようになりましたね」

 狩野「2003年に優勝した時、今岡さん(現ロッテ2軍監督)がその役割をやっていたみたい。監督やコーチが言うのではなく、選手同士で『もっとこうできるんじゃないか』とか『これができていないんじゃないか』と言うことがあったみたいだから。だから強くなるために必要なことに、梅野が自分を向けているんじゃないかなと思う。嫌われ役ではないけど、嫌われてもいいから勝ちたいと思っている?」

 梅野「人としては嫌われたくないですけど(苦笑)」

 狩野「だけど、チームとして勝つためにやらなきゃいけないことは言わなきゃいけない。リーダーとしての雰囲気が出ていると思う。本当は言いたくないんだけどね」

 梅野「そうなんですよ。キャッチャーをやっていたら分かるじゃないですか。もうちょっと前に来てくれよとか、走者の足とこの打球だったらチャージしないと間に合わないとか。打球に対しての一歩目、判断だったり」

 狩野「本当に言いたくない(笑)。相手も頑張っているからって思うけど…それを言わないとチームは強くならないんだよね」

 梅野「そこに行き着くと思います。そこが託された使命かなと思いますし」

 狩野「だから、このキャンプは静観してチーム全体を見ているのかなと思う。元気を出してやろうと思えば出せるのだろうけど…そうじゃなくて、もう一つ、上の段階に来ているのかなと思うんだよね」

 梅野「みんな優勝したいという思いはあると思うんです。でも自分は年々、負けるという悔しさが増してきていて。どうしたら優勝できるか。どうしたらチームが勝っていくのか。後輩たちはまずレギュラーをつかみにいって、優勝はその後についてくるという意識があって、“先読み”ができないんです。“今”という意識の設定値をもっと上に持っていくために、いろいろ話をしたい」

 狩野「年齢も上がってきて、チーム全体を見ないといけない立場になっていると思う。ここ何年間かレギュラーを張ったという選手は、梅野と糸原くらいでしょ。福留さん、糸井さんは別として、あとはいないでしょ?中堅の選手が言ってあげないとね」