美容院でシャンプーをしてもらっているとき、必ず聞かれる「かゆいところはございませんか?」という質問。答えは……「ない」。もしあったとしても……言えない。以前、思い切って美容師さんに「あるって答える人いるんですか?」と聞いたところ、「いらっしゃいますよ」と言われたが、「右耳の裏側がかゆくてぇ〜」などと言うシーンを想像すると顔が真っ赤になってしまう。それくらい、「かゆいところは?」に対する正解は「ない」なのだ。

 美容院はあるあるの宝庫である。1月に出版された『美容師あるある物語』(TAKUO/小学館)を書店で目にしたとき、なぜいままでこういう本がなかったのか不思議に思ったほどだ。ページをめくると、客目線の「あるある!」ネタや、美容師さん目線の「これがあるある!?」ネタに、声を出して笑ってしまった。いくつか抜粋してご紹介したい。

■「市販のシャンプーでいちばんいいシャンプーって何ですかぁ?」「ないです」

 市販のシャンプーはすべてダメということなのか、一概には言えないということなのかわからないが、「ないです」としか言いようがないらしい。ちなみにわたしは「いちばんいいドライヤーって何ですか?」と聞いたとき、「風だから全部一緒です」と言われたことがある。全部一緒ではないと思うのだが……。

■読んでいる雑誌、横からつい見てしまう。

 大抵の美容師さんはモテ特集を読んでいようがSEX特集を読んでいようが見て見ぬふりをしてくれるが、「こういうの好きなんですかぁ〜?」と聞いてくる人もいる。中にはもっとツワモノがいて、客のスマホを見て「次○○に行くんですねぇ〜」と言ってくる人もいる。人によるのかもしれないが、見られているかもしれないので注意しよう。

■指名してくれた女のコを好きになってしまう

 客は恋愛対象外かと思いきや、意外にも好きになってしまうものらしい。確かに、自分の手で可愛くなっていく女性を見ていると嬉しいに違いない。「もしかして、この間指名したプロレスラーの小川良成さん似の美容師さんも、わたしのこと……?」と思わずにんまりしてしまった(絶対、ちがう)。

 本書には他にも、「ドライヤーのコードを巻きつけているとき、プラグの先端が股間にあたる」「毛くずで豪快にスベる」といった美容師あるあるや、「まだ椅子回してないのに、立たないで……」「『この後どこか行かれるんですか?』と聞いて『まっすぐ家に帰ります』と言われたときのオワタ感」といった美容師さんの悲痛な叫びが盛りだくさん。とにかく笑えて、いますぐ美容院に行きたくなる一冊だ。

文=尾崎ムギ子