知人の子どもの写真入り年賀状を見て嫌な気持ちになるのは私だけ? 子どもをあきらめた先にはどんな未来があるの? 多様性の理念が浸透しつつある社会で、理想の家族像は旧態依然としている現代。子どものいない女性300人以上に話を聞いた『誰も教えてくれなかった子どものいない女性の生き方』(くどうみやこ/主婦の友社)から、全6回のエピソードをご紹介します。

令和から多様な生き方が受容されていく

 新時代の令和になりました。昔に比べて未婚率や子どものいない無子率は上昇していますが、これまで根づいていた価値観はそう簡単には変わりません。私自身、子どものいない女性を応援する「マダネ プロジェクト」の活動を通して、現実と世間の意識のズレを痛切に感じてきました。子どものいる女性を応援する活動であれば誰からも疑問を持たれないし、よいことだと称賛されるだろうけれど、子どものいない女性の生き方に寄り添う活動はなかなか理解してもらえませんでした。少子化が進む日本では、子どもを持たないことは褒めたたえることではないとの風潮があるからです。決して、子どもを持たない人生が素晴らしいとか、そのほうが楽しいと推奨しているわけではなく、これからは子どものいない人たちがふえていく、新たな大人のライフコースの一つになっていくと話しても、苦虫をかみつぶしたような表情をされることがありました。

 子どものいない女性の思いを知ってほしいと、前著『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』を出版しましたが、紆余曲折があり、ひと筋縄ではいきませんでした。子どものいない人生をテーマとして扱うことの難しさに思い悩んだ日々もありましたが、おかげさまで4刷りまで重ねることができました。「マダネ プロジェクト」の活動を始めたのが2012年頃、前著を出版したのが2017年。その間にもあらゆる価値観やライフスタイルが混在するようになり、多様性の概念が広がっていきました。

 料理のレシピは以前は4人分で掲載されていましたが、現在では2人分が多くなっています。また、日本では同性婚は法律上はまだ認められていませんが、同性パートナーシップ制度が誕生して導入する自治体がふえています。世界的には同性婚を認める動きが高まり、2019年5月には台湾でアジア初となる同性婚の法制化が実現しました。いずれ日本でも同性婚の法案が可決されるかもしれません。このように家族のあり方が変容していくと、伝統的な家族観は見直さなければなりません。

時代が令和に変わり、価値観の幅が広がっていく

 ようやく世の中が生き方の多様化に目を向け始め、子どものいない人生についても徐々に耳を傾けてくれるようになってきました。ここ2〜3年で、子どものいない人たちにも光を当ててよいのではないかとメディアで取り上げられる機会がふえ、活動を開始した当初から比べると、時代が少しずつ変わってきたことを肌で感じています。以前は活動に賛同してくれる人が少なかったのですが、最近になって「素晴らしい活動をされていますね」と褒めたたえられることも。先月と今月、昨年と今年くらいではあまり違いを感じないので、時代の流れを実感するのは難しいけれど、じっくり観察すれば変わっていることに気づくはずです。それにまったく気づかない人たちは時代遅れになっていきます。

 昭和は女性は家庭に入り、平成は外で働くことが普通になり、令和で生き方が多様化していく。人の持つ価値観の幅が拡大したことで、まだ世間はうまくチューニングできていませんが、徐々に受容されるようになっていくと信じています。法律婚ではなく事実婚を選択することもありだし、自分の子どもを産むのではなく、養子縁組や里親で育てる親子関係が令和にはもっと広がっていく可能性があります。家族の形は変化しているのですから、結婚して子どもがいることが幸せだと決めつけず、自分にとっての幸せな生き方を令和では大切にしていきたいですね。