第163回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が発表された。選考会は7月15日(水)、東京・築地の新喜楽で開かれ、「芥川龍之介賞」は高山羽根子の『首里の馬』と遠野遥の『破局』に、「直木三十五賞」は馳星周の『少年と犬』に決定した。

【第163回芥川賞受賞作品】

『首里の馬』(高山羽根子/新潮社)

【あらすじ】
この島のできる限りの情報が、いつか全世界の真実と接続するように。沖縄の古びた郷土資料館に眠る数多の記録。中学生の頃から資料の整理を手伝っている未名子は、世界の果ての遠く隔たった場所にいるひとたちにオンライン通話でクイズを出題するオペレーターの仕事をしていた。ある台風の夜、幻の宮古馬が庭に迷いこんできて……。
世界が変貌し続ける今、しずかな祈りが切実に胸にせまる感動作。

【プロフィール】
高山羽根子(たかやま はねこ)●1975年生まれ。多摩美術大学美術学部絵画学科卒。2010年「うどん キツネつきの」が第1回創元SF短編賞の佳作に選出される。同年、同作を収録したアンソロジー『原色の想像力』(創元SF文庫)でデビュー。16年「太陽の側の島」で第2回林芙美子文学賞受賞。
『うどん キツネつきの』(2014年東京創元社刊)で第36回日本SF大賞最終候補。「太陽の側の島」(2016年婦人公論4月12日号)。「オブジェクタム」(2018年小説トリッパー春季号)、単行本は2018年朝日新聞出版刊(「太陽の側の島」併録)、第39回日本SF大賞最終候補。「居た場所」(2018年文藝冬季号)で第160回芥川賞候補、単行本は2019年河出書房新社刊。「カム・ギャザー・ラウンド・ピープル」(2019年すばる5月号)で第161回芥川賞候補、単行本は2019年集英社刊。「如何様」(2019年小説トリッパー夏季号)、単行本は2019年朝日新聞出版刊で第41回野間文芸新人賞候補。

『破局』(遠野遥/河出書房新社)

【あらすじ】
私を阻むものは、私自身にほかならない。
ラグビー、筋トレ、恋とセックスーーふたりの女を行き来する、いびつなキャンパスライフ。
28歳の鬼才が放つ、新時代の虚無。2019年文藝賞でデビューした新鋭による第2作。

【プロフィール】
遠野遥(とおの はるか)●1991年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。2019年「改良」で第56回文藝賞を受賞しデビュー。著作「改良」2019年文藝冬季号、単行本は同年河出書房新社刊。

【第163回直木賞受賞作品】

『少年と犬』(馳星周/文藝春秋)

【あらすじ】
家族のために犯罪に手を染めた男。拾った犬は男の守り神になった――男と犬。
仲間割れを起こした窃盗団の男は、守り神の犬を連れて故国を目指す――泥棒と犬。
壊れかけた夫婦は、その犬をそれぞれ別の名前で呼んでいた――夫婦と犬。
体を売って男に貢ぐ女。どん底の人生で女に温もりを与えたのは犬だった――娼婦と犬。
老猟師の死期を知っていたかのように、その犬はやってきた―老人と犬。震災のショックで心を閉ざした少年は、その犬を見て微笑んだ――少年と犬。
犬を愛する人に贈る感涙作。

【プロフィール】
馳星周(はせ せいしゅう)●1965年生まれ。横浜市立大学卒業。書評家などを経て、96年『不夜城』でデビュー。
『不夜城』(1996年角川書店刊)で第18回吉川英治文学新人賞受賞、第15回日本冒険小説協会大賞受賞。『鎮魂歌 不夜城Ⅱ』(1997年角川書店刊)で第51回日本推理作家協会賞(長編部門)受賞。『漂流街』(1998年徳間書店刊)で第1回大藪春彦賞受賞。『蒼き山嶺』(2018年光文社刊)、『雨降る森の犬』(2018年集英社刊)、『四神の旗』(2020年中央公論新社刊)、ほか著作多数。

■第163回芥川龍之介賞の全候補作はこの5作品

・石原燃(いしはら ねん)『赤い砂を蹴る』(文學界6月号)
 作品レビューを公開中▶“太宰治の孫”が芥川賞候補に! 語り合いが紡ぐ母の人生と娘の救済 石原燃『赤い砂を蹴る』

・岡本学(おかもと まなぶ)『アウア・エイジ(Our Age)』(群像2月号)

・高山羽根子(たかやま はねこ)『首里の馬』(新潮3月号)

・遠野遥(とおの はるか)『破局』(文藝夏季号)

・三木三奈(みき みな)『アキちゃん』(文學界5月号)

■第163回直木三十五賞の全候補作はこの5作品

・伊吹有喜(いぶき ゆき)『雲を紡ぐ』(文藝春秋)

・今村翔吾(いまむら しょうご)『じんかん』(講談社)

・澤田瞳子(さわだ とうこ)『能楽ものがたり 稚児桜(ちござくら)』(淡交社)

・遠田潤子(とおだ じゅんこ)『銀花の蔵』(新潮社)

・馳星周(はせ せいしゅう)『少年と犬』(文藝春秋)
 作品レビューを公開中▶何かを求めて日本を縦断する一匹の犬…犬を愛する人に捧げたい感涙作