2019年9月初旬に千葉県を中心に甚大な被害をもたらした台風15号を覚えていますか?
「ファクサイ」と名付けられたこの台風は首都圏にも大接近し、首都圏の鉄道会社は「計画運休」を本格的に実施しました。
しかし、計画運休後の運転再開が見込みよりも遅れ、なおかつ多くの企業が計画運休時の従業員の出勤・退勤をどうするか整理できていない状況のなか、「(会社から特に指示がないので)とりあえず出勤のために駅に行かないと……」と考えた鉄道利用者で駅が溢れかえるなど、首都圏における台風災害に対する「弱さ」が浮き彫りになりました。
先日は台風10号が発生しましたね。
台風は年によって来る来ないの程度に差はあれど、毎年発生するものです。
加えて、大雨などの自然災害もいつ発生するかわかりません。
そこで今回は、東京都が発表した「計画運休時の出退勤ガイドライン」をもとに、計画運休への対応方法をわかりやすく説明します。

「計画運休時の出退勤ガイドライン」における基本的な考え方

都内には、小売業、製造業、運送業など、さまざまなぎ業種の企業が存在していますが、計画運休時に業務を中止しやすい業種、しにくい業種の差はもちろんあります。
ガス、水道などのライフラインに関わる企業は、台風をはじめ災害時も業務の継続が求められます。
重要なのは、各企業が自社の状況をしっかりと主体的に捉え、計画運休時にどう対処していくかあらかじめ定めて準備しておくことです。
準備のひとつとして、スムーズビスによる対応が挙げられます。
通勤環境や、企業の生産性向上を目的として、都が推進しているものですが、計画運休時に混雑緩和の助けになるという観点から有効です。
特にテレワークは、従業員の安全を守りつつ業務ができるので、新型コロナウイルス感染症が拡大している今から準備、取り組んでも損はないと思います。

参考記事:時差ビズとテレワークの融合、「スムーズビズ」という考え方(https://news.doctor-trust.co.jp/?p=42780)

計画運休が発表された!どう対応する?

台風などが近づいてくると、各鉄道会社が概ね48時間前に計画運休の可能性を発表します。
いざ発表されたときに慌てないように、今のうちから計画運休の実施発表から実施後までの対応を、タイムラインとして作成・周知しておくとスムーズでしょう。
以下のタイムラインを参考に、ぜひ作成してみてください。

参考:東京都「計画運休時の出退勤ガイドライン(PDF)」3頁(https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/009/623/2020062902.pdf)

常日頃から準備をして備えよう

「計画運休時の出退勤ガイドライン」では、計画運休時に混乱しないようにするため以下2つを紹介しています。

◎ 平時の取り組み
◎ 計画運休実施時の取り組み

取り組みの一部を簡単に見ていきましょう。

平時の取り組み
1 労働条件の整備
計画運休時にも円滑に事業運営をするためには、柔軟な働き方ができるように勤務形態などの整備をしておくこと、なによりもまずこれが大切です!
先ほども少しご紹介したテレワークなどのスムーズビズによる柔軟な働き方の推進はもちろん効果的ですが、どうしても在宅では仕事ができない職種などは、特別な有給休暇を設けるなどの制度を構築すると良いでしょう。

2 就業規則への反映
計画運休に備えて、前述の制度を導入する場合は、就業規則への反映が必要となります。 余裕をもって準備、反映まで行いましょう。

3 計画運休時における勤務時間・休暇制度等
前記「1 労働条件の整備」の際に検討できる制度などを紹介しています。
詳しくは、「計画運休時の出退勤ガイドライン」の6〜10頁を参照ください。

4 計画運休時の社内体制と連絡体制の準備
計画運休発表後の情報収集や取引先との調整、業務の中止判断など、すべきことがたくさん発生します。
これに対して誰が・どの部署が行うのか、役割分担を決めて周知しておきましょう。 また、計画運休に伴い、早期帰宅や出勤抑制をする場合の社内連絡方法についても定めて周知しましょう。

計画運休実施時の取り組み
1 計画運休前の情報収集
計画運休への対応を的確に行うためには、正確な情報をできるだけ早く収集することが大切です。
必要となる情報は、気象情報や区市町村が発令する避難情報などです。
上記の情報が得られるウェブサイトをブックマークしておくと検索の手間がなくなるのでよりスムーズに情報収集ができます。
また、東京都は「東京都防災アプリ」も運営しているので、情報収集の役割を担う人は、インストールしておくといいでしょう。

2 運休開始時および運転再開時の勤務体制の決定
運休開始時の早期帰宅や出勤抑制を実施する部署、運転再開時の出勤の有無と出勤すべき時間を明確にした勤務体制を決めましょう。
ここがうやむやになっていると、冒頭でお話ししたような「とりあえず出勤のために駅に行かないと……」という人々で駅が混雑してしまいます。
たとえば「9〜11時の間に出勤すればOK」といったように時間を明確にし、駅やバス停の混雑に社員を巻き込まないよう安全確保に努めましょう。
また、計画運休により早期帰宅させる場合は、運休時間ギリギリにならないよう、ゆとりを持って帰宅できるよう対応しましょう。

この他にも取り組むべきことはたくさんあります。
「計画運休時の出退勤ガイドライン」にわかりやすくまとまっていますので、ぜひ参考にしてください。
台風などの大きな災害に見舞われないことが1番なのですが、備えあれば憂いなしです。
今回ご紹介した計画運休時の取り組みは、いまもなお猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症をはじめ、さまざまな緊急時の対応として効果があります。
この機会に、社内でしっかりと話しあうことをおすすめします。

<参考>
・ 東京都防災ホームページ「事業者の皆さまへ(計画運休時の対応)」(https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/bousai/1000026/1009623.html)>
・ 気象庁「台風の発生数(2019年までの確定値と2020年の速報値)」(https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/typhoon/statistics/generation/generation.html)