改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が発令された4月7日以降、多くの企業がテレワーク対応に踏み切りました。
完全なテレワークに移行せずとも、ローテーション勤務などにより全従業員が出勤しないよう対策を取っている企業も多いかと思われます。
「密閉」、「密接」、「密集」の「3つの密」を防ぐため、会議や打ち合わせも中止や見直しが行われています。 今回は、このような状況における衛生委員会の開催や対応についてわかりやすく解説します。

今、衛生委員会は開催するべき? やるならどのように?

そもそも衛生委員会とは
衛生委員会は、50名以上の従業員のいる事業所が設置、開催すべきものと定められています。 この「50名以上の従業員」には、社外常駐従業員も含めて「その事業場に所属している」従業員が対象となるため、テレワーク対応も当てはまります。

<衛生委員会を設けるべき事業場>
第9条 法第18条第1項の政令で定める規模の事業場は、常時50人以上の労働者を使用する事業場とする。
出所:労働安全衛生法施行令

衛生委員会は弾力的な運用を
現在、「3つの密」を防ぐためにも会議などの自粛が要請されております。
その中で衛生委員会(安全衛生委員会含む)の開催をどう対処するべきかは、厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」にて説明がなされています。

<安全委員会等の開催>
問3 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、従業員が集まる会議等を中止していますが、労働安全衛生法に基づく安全委員会等の開催については、どのように対応すればよいでしょうか。
新型コロナウイルス感染症の拡大を防止する観点から、安全委員会等を開催するに際してはテレビ電話による会議方式にすることや、開催を延期することなど、令和2年6月末までの間、弾力的な運用を図ることとして差し支えありません。
なお、いずれの方式にしても衛生委員会等を開催するに際しては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた対応等について調査審議いただくなどにより積極的に対応いただきますようお願いいたします。 また、この取扱いは、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた令和2年6月末までに限られた対応となりますので、ご注意ください。

出所:厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」
※本稿執筆時点の内容になります。期限等は今後延長される可能性がありますので、ご留意ください。

上記厚生労働省の説明をまとめると以下のとおりです。

・ 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、衛生委員会などは弾力的な運用が可能

・ テレビ電話などを使っての衛生委員会実施でも構わない 

・ 衛生委員会実施に際しては、新型コロナウイルス感染症拡大防止を議題としてほしい

「産業保健新聞」を運営するドクタートラストでは、テレビ電話やウェブ会議アプリなどを使用した「遠隔での衛生委員会の開催」を推奨しています。
また、事業場側は衛生委員会の開催を延期または休止とする場合、衛生委員会の議事録には休止の旨を記載のうえ、保管しておきましょう。

いま、衛生委員会で話し合うべきことは?

労働安全衛生法3条では、事業者は従業員の心身の健康の保全に努めなくてはいけない(安全配慮義務)と定められています。

<事業者等の責務>
第3条 事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。
出所:労働安全衛生法

また、4月17日付で厚生労働省労働基準局長より労使団体の長宛に通達がありました。

2 職場における感染予防対策の徹底について
(中略)
染防止対策の検討に当たって、職場に、労働安全衛生法により、安全衛生委員会、衛生委員会、産業医、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者等が設置・選任されている場合、こうした衛生管理の知見を持つ労使関係者により構成する組織の有効活用を図るとともに、労働衛生の担当者に対策の検討や実施への関与を求めていただきたいこと。その際、産業医等の助言を得つつ、妊娠中の女性労働者や、高齢者、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患など)を有する方々に対して、十分な労務管理上の配慮をしていただきたいこと。

出所:厚生労働省「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業で働く方々等の感染予防、健康管理の強化について」

つまり、各事業場では「感染防止対策」「症状のある労働者への対応」「発症者が出た際の対応策」について、体制を整えておくことが重要です。
厚生労働省「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業で働く方々等の感染予防、健康管理の強化について」に付されている「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」は衛生委員会、安全衛生委員会用のフォーマットで作成されているため、こちらを活用しての対策構築がおすすめです。

衛生委員会で新型コロナウイルス感染症を議題とする際に役立つ資料

・ 「産業保健新聞」の新型コロナウイルス感染症関連記事(https://news.doctor-trust.co.jp/?cat=591):最新情報を随時更新しています
・ 「新型コロナウイルス感染症 予防と感染拡大防止方法」(衛生委員会ハンドブック)(http://aneiho.com/iinkai/%E7%AC%AC091%E5%8F%B7-%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%AF%E9%9B%86%E5%9B%A3%E5%88%86%E6%9E%90%E3%82%92%E7%94%9F%E3%81%8B%E3%81%9D%E3%81%86%EF%BC%81%EF%BD%9E):衛生委員会の議題として使えるよう、PDF形式の資料を用意しています。
「ドクタートラストチャンネル」(YouTube)(https://www.youtube.com/channel/UCAGwJGIsIH72u2Ii3wvx8qw):新型コロナウイルス感染症対策のオリジナル動画を用意しています。
(https://www.youtube.com/embed/P8KA1UpHNPg) (https://www.youtube.com/embed/ZqT6WrKXBAs)

新型コロナウイルス感染症収束後の懸念

韓国では一日あたりの新規感染者数が一桁となり、収束への兆しが見えてきたようです。
日本ではまだまだ気の抜けない生活が続きそうですが、担当者の皆さまは、現在および収束後の従業員の健康管理およびメンタルケアについても、視野に入れる必要があると思われます。
厚生労働省では新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いを可能としています。
またテレワークなどによる、職場とは違う環境で通常と同じパフォーマンスを行わなければならないプレッシャー、オンオフの切り替えには個人差も生じ、徐々にフラストレーションがたまってくることと考えられます。
メンタル不調や健康疾患につなげないためにも、社内または外部相談窓口へのアナウンスを再度周知されることをお勧めいたします。
<参考>
・ 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」
・ 厚生労働省「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業で働く方々等の感染予防、健康管理の強化について」