新型コロナウイルスの影響による外出自粛によって、5月頃は都内でも鉄道利用者が激減しましたね。
その一方で、時差通勤やテレワークを推奨される企業が格段に増えました。
しかし今から1年前、2019年10月に首都圏を直撃した台風15号による計画運休時にはいかがでしたでしょうか。
今回は災害時の鉄道計画運休における企業の取り組みについてわかりやすく解説します。

2019年10月、鉄道の大規模な計画運休


今でこそ新型コロナウイルスの影響により時差通勤・テレワークが認められるようになりましたが、2019年10月に台風15号が発生した際、企業側の判断がはっきり出ていない、もしくは通常通りの出勤命令が出たために、何時間も駅で立ち往生をすることとなってしまった方や、雨風に吹かれながら出勤された方もいたかもしれません。
これまでは台風でも出勤するのが当たり前という判断をする企業もいたかと思いますが、これからは違います。
労働者はより働きやすい環境を求めていますので、災害時に出した企業の判断が労働者の「会社への満足度」を左右するといっても過言ではありません。

災害時、企業に求められるのは


2020年6月30日、国土交通省からパンフレット「災害に備えた鉄道の計画運休時における時差通勤・テレワーク活用のお願い」が公開されました。
本パンフレットでは、計画運休の際に優れた取り組みをした企業事例が紹介されています。
また、計画運休後の運転再開後に輸送力の限界によって発生する混雑を、時差通勤やテレワーク等の社内ルールの設定を企業に求めることで、混雑の緩和を推進しています。

企業の優れた取り組み事例


本パンフレットで紹介されている優れた事例からいくつかを以下にピックアップしました。

<株式会社リコー>
事前の備え:過去の台風通過前後における従業員の出退社リスクを分析し、台風発生時等の対応マニュアルを作成
計画運休時の対応:
・ 計画運休発表後、対応マニュアルに基づき、従業員の安全確保について検討
・ 人事本部長が翌日午前中の自宅待機を迅速に判断、直ちに安否確認システム等により全従業員に周知
・日頃からテレワークを推進していた事もあり、混乱する事なく翌日の対応を完了
<日本電気株式会社>
事前の備え:
・ 日頃からテレワークを積極的に活用し、多くの社員がテレワークに習熟
・ 社員にスマートフォン・パソコン貸与
・ 大人数のアクセスにも耐えるリモートアクセス基盤整備
計画運休時の対応:
・ 各事業部門のBCP担当者が情報を収集し、部門長がテレワークを指示
・ 社員各自がパソコンを自宅へ持ち帰るだけで、スムーズにテレワークを実施

県立広島大学、東京大学が2019年10月に実施した「令和元年台風15号における計画運休に関する調査」では、26%の方が「会社からの指示・連絡は特になかった」、18%が「各自が自主的に判断することになった」と回答しています。
44%の方が自身の判断に委ねられていた中で、上記2社のように対応マニュアルや、事前のテレワーク整備により、混乱を招かず従業員が健康で安全に働けるよう準備をしている企業もあります。
この数カ月で社会を取り巻く環境や働き方が大きく変わっていることもあり、これを機会に災害時の対応について改めて検討していただきたいです。

<参照>
・ 国土交通省「災害に備えた鉄道の計画運休時における時差通勤・テレワーク等の企業側の取り組みを推進します〜鉄道の計画運休時における企業の優れた取り組みの具体事例を紹介〜」
・ 県立広島大学「県立広島大学及び東京大学による共同調査の調査結果について 9割以上が計画運休を認知し賛成 令和元年台風15号における計画運休に関する調査」