愛犬を諭すように叱れば反省してくれる、というのは誤解?


愛犬がイケナイことをしたときに、話せばわかると繰り返し叱ってしまったり、お説教をしてしまったりしている飼い主さんは少なくないのではないでしょうか?
「愛犬は、叱られると目をそらしたり、その場から逃げ出すから、叱られている意味は分かっているはず!」
そんなふうに考えている人もいるかもしれません。

でもじつは、叱っても、お説教をしても、愛犬にはまったく通じていない、というのが事実なのだとか……。

そこで今回は、犬に叱ることが無意味な理由について解説します。

犬は二語文までしか理解できません!


犬は、繰り返し教えれば「オモチャ、トッテ」などの二単語を組み合わせた言葉(二語文)を理解できるようになります。

研究者によっては、練習を重ねれば3単語も覚えられる、という見解を示しているケースもありますが、それはあくまで、3つの単語を〝ひとつの音信号″として理解しているレベルにすぎないようで、個々の単語の意味を深く理解しているわけではないようです。

つまり、3つの単語を、教えたのとは異なる順番にバラバラに組み合わせて指示したら、おそらく犬には通じない、というわけ。
また助詞や副詞などを使って文意を変えても、個々の単語の意味を深く理解しているわけではないので、やはりその言葉や指示は通じないのです。

たとえば「“ボール”、“カゴ”、“モッテコイ”」で、ボールをかごに入れて持ってこさせることを教えたとき、「“カゴ”の“ボール”、“モッテコイ”」(かごの中のボールを持ってこい)と指示しても、うまく伝わらない可能性が高いでしょう。

このように、3単語ですらあやふやなのですから、くどくどと叱ったり、お説教をしても、まったく犬には通じないと言えます。
お説教されることに対して犬は、「何か言っているな」と、雑音程度にしか思っていないのです。

犬は今、目の前で起きていることだけしかわかりません!


犬は“今”がすべて。過去について記憶はあっても振り返って考えません。
つまり、過去の自分を振り返って反省することはないのです。
ということは、どんなに叱ってもまさに犬に論語。
反省できない相手に対して本気で叱っても、何ら意味はないのです。

ちなみに、犬は過去を振り返らない(振り返れない)ので、相反する“未来”に思いをはせることもしません。
そのため、「平日は散歩に行けないから、そのぶん今度の週末にはたくさん遊ぼう」と犬に話しかけても、言葉の意味が通じないだけでなく、未来の約束をすること自体がナンセンスなのです。

犬は相手の立場に立って物事を考えません!


人はおおよそ3才くらいになると、「相手からこう思われるかも」と想像できるようになります。
しかし犬は、脳回路がそこまで発達せず、「〇〇をしたら恥ずかしい」「〇〇をしたら相手に悪い」などと考えません。
相手の立場に立って考えないので、「イタズラして悪いことをしたな」「そそうすることは恥ずかしいこと」などとは思わず、つまり犬を叱る意味も価値もない、といえるのです。

叱ったときに目をそらすのは、「もうやめて」のサイン


では、叱ったときに目をそらしたり、その場から逃げ出すのはなぜ?
叱られている意味を分かっているからなのでは? と思う方もいるでしょう。

答えは簡単。愛犬は「ストレスをかけないで」という意思表示で顔を背けているか、ただならぬ飼い主さんの雰囲気を察して恐怖や不安からその場から逃げ出しているだけ。
決して、お説教の内容を理解したり、反省したりしてそのような行動をとっているわけではないのです。

愛犬のことがかわいいあまり、つい何でも擬人化してとらえがちですが、犬は人とは異なる動物です。
犬の生態を誤解せずにきちんと理解できれば、そもそも叱らなければいけないような場面も減らせるはず。
愛犬のことを正しく知って、いい関係を築きたいですね。


参考/「いぬのきもち」2019年11月号『犬は永遠の人でいう2才児なんです!』(監修:Can ! Do ! Pet Dog School代表・西川文二先生)
文/h.taco

※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。