ホントにあった、犬にまつわる事件簿を紹介!

過去に実際に起こった犬がらみのトラブルと、それに対して裁判所から下された判決について解説します。同じような事件が起こった場合の参考になります。

今回ご紹介するのは、京都地方裁判所で昭和55年12月18日に判決が出た事例です。

※この記事の解説は、ひとつの例にすぎず、まったく同一の解決・判決を保証するものではありません。個々の事件の判決については裁判所に、解決策はその当事者に委ねられます。

お話してくれたのは……渋谷 寛先生

弁護士/渋谷総合法律事務所。ペット法学会事務局次長。動物の医療過誤訴訟を担当するなど、ペットと法律の問題に力を注ぐ。共著に『Q&A ペットのトラブル110番』(民事法研究会)など。

開いていた玄関の扉から愛犬が飛び出した!…自宅の室内では、愛犬は自由に動き回れる状態だった


Aさんは、自宅の室内で小型犬を飼育していました。自宅の中では愛犬の行動は制限しておらず、自由に動き回れる状態でした。事故が起こった日は、いつもは閉まっている玄関の扉がなぜか開け放たれていて、そのため、自由に動ける愛犬は自宅前の路上に飛び出してしまいました。

そこへ運悪く通行人が通りかかり、愛犬は通行人に後方から近づき、左足の甲の部分に噛みついてしまいます。しかも、一度だけではなく、数回噛みついてしまいました。季節が夏だったこともあり、素足だった通行人は、噛まれてケガをしてしまいました。通行人は、ケガの治療費や慰謝料などを求めて飼い主さんを訴えました。

飼い主さんに過失があると判断された

裁判では、Aさんは愛犬が通行人を噛んでケガをさせたことは認めました。しかしたまたま玄関の扉が開いていたため起こった事故で、賠償する義務があるかどうかはわからないということで争いました。裁判所は、飼い主さんが事故を未然に防ぐために相当の注意を払っていたとは認められず、飼い主さんに過失があり、通行人が被った損害を賠償すべき義務があると判断。治療費や慰謝料などを支払うよう命じました。

判決は……治療費と慰謝料の支払い義務があると判断された!


この事例は、ふだんは閉まっている玄関の扉がたまたま開いていたことから起こったケースですが、ふだんの生活で玄関の開け閉めの際に愛犬が飛び出してしまう危険性もあります。「玄関の扉を開けても愛犬は飛び出さないから大丈夫」と注意を怠り、他人に傷を負わせると、飼い主さんの過失が問われることもあります。また、愛犬自身が事故にあうケースもあります。

散歩は愛犬にリードをつけてから扉を開ける、宅配など来客時にはハウスに入れるなど、トラブルを防ぐ工夫をしましょう。

参考/『いぬのきもち』2018年3月号「ホントにあった犬の事件簿」
イラスト/macco
構成・文/豊島由美