「世間は景気がいいのに銀行だけが苦しい」もはや「本業」で稼げない

「世間は景気がいいのに銀行だけが苦しい」もはや「本業」で稼げない

 人・業務量や支店を減らすと宣言したメガバンク。「安定」の象徴だった銀行が盛衰を分ける岐路に立つ。融資という創業以来の伝統的な「本業」では稼げない時代が到来している。

 銀行員の働き方も、この1年ほどで変わった。午後7〜8時には、ほぼ全員が帰途に就く。残業させると部署や支店の評価が下がる。もっとも、退社後の時間を使った英会話の習熟や資格の取得といった新たな目標の設定も必須になった。

 そこに、日銀のマイナス金利が水を浴びせた。金融庁は、メガバンクではスマホ決済をはじめフィンテックの進化によって、店舗網や決済システムが「負のレガシーアセット(伝統的な資産)」になりかねないと警鐘を鳴らす。メガバンクは人や業務量の削減に加え、来店客が10年で3〜4割減った店舗網も見直す。みずほは国内の2割、約100拠点を減らす。

 それでも「戦前から続く根本的な問題が解決していない」と指摘するのは格付け会社S&Pグローバル・レーティング・ジャパンの吉澤亮二さんだ。預金のうち融資にまわす比率が、多くの期間で8割を下回る低水準で推移してきた。

「集めた資金を国内で融資するだけの需要がないからです。銀行の規模に対して企業や個人が必要とする資金量が小さい」

 恒常的なオーバーバンキング(銀行過剰)状態だ。銀行は今回、人員や拠点を減らしてコストを下げるとともに、三井住友が農業法人に出資するなど新たな収益源の発掘に力を振り向ける。金融庁の試算によれば、地域銀行の6割で24年度、貸し出しなどの顧客向けサービスが赤字になる。あと7年あまり。現実はそれを上回る悪化で、少なくともその時期までに「事業構造を根本から転換する」(メガバンク経営幹部)と意気込む。

 日本は12年12月から景気拡大が続き、戦後2番目の長さになった。それでも多くの銀行幹部が口をそろえる。

「世間は景気がいいのに、銀行だけが苦しい」

 銀行という企業体は残るが、中身は一新され、銀行という事業の枠組みが終わるのかもしれない。(呼称はすべて当時)(編集部・江畠俊彦)

※AERA 2018年1月22日号より抜粋

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