あなたのメインバンクは大丈夫? 投資前に知るべき「信用格付け」の見方

あなたのメインバンクは大丈夫? 投資前に知るべき「信用格付け」の見方

 投資をするには元手が必要。それは多くの場合、銀行預金だろう。その銀行は安心なのか、判断の材料にしたいのが信用格付けだ。格付けとは何か。そしてどう使えばいいのか。



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 昨年来、銀行、それもメガバンクの人員削減がたびたびニュースになった。みずほフィナンシャルグループは10年間の合計とはいえ、グループ従業員を1万9千人減らす。地域銀行では、基盤強化に向けた経営統合などが各地で進む。

 どちらも金融機関にとって稼ぎにくい低金利が続くなど、厳しい状況が背景にあるとされる。もしや、銀行は危ういのでは? そんな不安を覚えた人もいたはずだ。

 投資信託を買うにしても、元手は銀行預金だろう。すぐに買いたい投信がなければ、銀行に預けたままにしておくかもしれない。もしも銀行が破綻したら……。日本では、1銀行あたり普通預金や定期預金などの元本1千万円とその利息はペイオフ(預金保護)により払い戻されるが、外貨預金などは返ってこないかもしれない。自身のメインバンクにお金を預け続けていても安全なのか。判断材料のひとつとなるのが「格付け」だ。

 格付けとは、「その企業・団体が借りたお金を返せるのか返せないのか」を、段階をつけて評価したもの。格付け会社ごとに表し方や定義は微妙に異なるが、AAA(Aaa)が最も高い。これは「トリプルエー」と読む。大手格付け会社S&Pグローバル・レーティング・ジャパンで銀行などの格付けを担当する吉澤亮二シニアディレクターは言う。

「メインバンクに預けているお金の安全度を測ったり、上場企業の社債に投資する場合などは参考にするといいでしょう」

 S&Pを例にとると、「長期発行体格付け」は2〜3年先までを基準に、その企業(銀行)が債務を返せるかどうかの全体的な能力を表したもので、基本的にはこれを見るといい。S&Pの場合、上から順にAAAは「債務を履行する能力は極めて高い」、AA(ダブルエー)は「債務を履行する能力は非常に高く、最上位の格付け(AAA)との差は小さい」、A(シングルエー)は「債務を履行する能力は高いが、より上位の格付けと比べて事業環境や経済状況の悪化の影響をやや受けやすい」と定義されている。

「これより下は危険」というラインはないが、BB+(ダブルビープラス)以下は、ハイリスク・ハイリターンな「投機的格付け」と位置づけられる。プラスやマイナスは、その段階のなかでも強いか弱いかを表す。つまりBB+はBBよりもやや強いが、その上のBBBよりも弱い。

 一方、株に投資する場合は目線が異なる。株投資では株価が上がることを期待する。つまり、企業の成長性がモノサシとして重要になるが、成長にはリスクがつきもの。ハイリターンな企業ほどハイリスクと評価されがちで、格付けは高くなりにくいという。

 では、その格付けはどこに着目して決められるのか。吉澤さんによると、銀行の場合は大きく分けて二つある。

「ひとつは銀行自身のお金を返す能力です。これは主に、銀行がどんな手段でどのくらい儲けているかという『収益力』と、赤字に陥った場合の最後の砦(とりで)である『自己資本』で判断します」

 収益力では、銀行本来の業務である貸し出しで安定的な利益を得ている場合に高く評価されるという。自己資本とは、銀行が持つお金のうち、返済する必要がない分を指す。借金ではない「自己」のお金だ。

 着目点のふたつ目が、政府の支援をどれだけ期待できるか。

「日本では、銀行が苦しくなった場合に公的資金を注入したり、一時国有化したりすることができると、預金保険法という法律で定められています。こうした支援がどの程度織り込めるかも、大切な判断基準です」

 S&Pは2015年にみずほ銀行と三井住友銀行の格付けを引き下げた。これは日本国債の格付けを引き下げたことに伴って、日本政府のサポート力が弱くなったと判断したことが主な理由だ。このとき、三菱東京UFJ(現・三菱UFJ)銀行の格付けには変更がなかった。

「政府から受けられるサポートの度合いについては、みずほや三井住友と三菱UFJは同じだと考えています。このときは政府サポートを考慮に入れなくても三菱UFJ自体の信用力が十分高いと判断し、格付けを据え置きました」

 政府によるサポートは、どの銀行でも受けられるのだろうか。法律によると、公的な支援は、「国または地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがある」と認められた場合に発動される。例えば栃木県に本店を置く地銀、足利銀行が03年に一時国有化されたケースがある。発行済み株式をすべて国が強制的に取得した。

 さて、あなたのメインバンクは大丈夫なのか。メガバンク、ゆうちょ銀行に加えて全国の地銀、第二地銀、ネット銀行の計113行の格付けを一覧表にした。格付け会社はS&Pをはじめ、ムーディーズやR&Iなど大手5社のものを横並びに表記してある。

 S&Pでは、格付けした22行がA(21行)かBBB(1行)に収まった。

 もっとも格付けが多い日本格付研究所(JCR)では、AA13行、A51行、BBB19行となった。JCRのBBBは「債務履行の確実性は認められるが、上位等級に比べて、将来債務履行の確実性が低下する可能性がある」という意味なので、ほかの会社の格付けも含めてざっと見る限り、どの銀行も現状では問題なさそうだが?

「格付けは銀行からの依頼で検討するもので、評価を付けていない銀行についてはコメントできません。当社で格付けしている銀行については、『投機的』とされるものはなく、すぐに下がりそうだと注視しているところ(クレジット・ウォッチと呼ばれる)もありません。ただし、他国と比べ、日本の銀行は収益性が低めです。銀行間の競争が激しくなるなかで、貸し出しによる金利収入も落ちてきている。それをどう補っていくのかにも着目しています」(吉澤さん)

 この一覧表では省略したが、それぞれに「ポジティブ」「ネガティブ」という表記がつくこともある。これは、今後2〜3年以内に格付けが変わる可能性が一定程度あるという記号だ。併せてチェックするといいだろう。

 格付け会社はそれぞれ、自社ホームページで最新のデータを公表しているので、年に1〜2回、のぞいてみるといい。(編集部・川口穣)

※AERA 2018年7月9日号


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